猫と海辺に暮らす翻訳コーディネーターの阿鼻叫喚な日々を綴る日記。

スポンサーサイト
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

富士登山
富士山が世界遺産になった!日本中におめでとう!
静岡と山梨県民ご一同様おめでとうございます!

フジヤマ、芸者。かつて富士を描いた浮世絵がヨーロッパの絵画に影響を与えたり、
ポストカードに描かれたり。高さはそこそこの山にもかかわらず、世界の人々に
これ程まで愛される富士山が世界遺産に選ばれたことは、日本人として誇りに
思わずにはいられない。

そして思い出す富士登山。

私のブログを少しでも読んでいただいた方であれば、私が山に登るような人間か
どうか容易にご想像がつくはず。爽やかな風に吹かれて山ガールとか無理。
私はおトイレが阿鼻叫喚な場所は嫌なのだ。

それはもう十年以上も前のこと。仙台に住むアメリカ人から富士山に行くと連絡
があった。山に登るという。「じゃ、頑張って」というと、私も一緒に登って
くれないかと言う。無理!一秒と間髪をおかず拒絶反応の私に、これまで
彼がどれほど尽くしてきたかと恩着せがましい説得が始まる。

誤解のないように書いておくと、彼はゲイで名前はNathan(ネーサン)。
日本語で流暢なオネエ言葉をあやつるので、名前にあやかって「お姉さん」と
呼んでいた。福山雅治を愛してやまない乙女である。

私の外人ネットワークは大体こんな感じ。来るものは拒まずの性格が幸い(多分
災い?)して、外人+オタクとか、外人+ゲイ、外人+引きこもりのような
訳ありばかり。

電話口でヒステリーを起こすアメリカンビッチに押し切られ、この私が
山に登ることになってしまった。

一体なにを持って行ったらいいか分からず、大きなリュックにいろいろ詰めた
私を見るや、新宿の深夜バスの入り口で私のリュックをお開きして、蓮舫のように
テキパキと仕分け始めるお姉さん。

「だからあんたはダメなのよ」

という。ちなみにガタイはよく、英語を話している限りウッフンな感じは
一切ない。自分が持って来たガイドを開いて、五号目から上の景色に想いをはせる
姿がいじらしくも痛々しい。痛々しいのはその格好。ピンクのスニーカーと
ターコイズのシャツは、この日のために新調したのだそう。斜めにかぶったキャップ
にはキラキラのスパンコールが。一体どこで買ったのよそれ。そして私はこの人と
3,000メートル以上一緒に歩くのだ。

深夜バスが五号目に着くと、なぜか大量の外人の群れ。私は知らなかったのだけど、
外人の間では富士山に登ることが一種のステータスらしく、皆、喜々として山頂を
目指す。我らの富士山はこれほどまでに愛されていると知ることができたのが、
この登山の唯一の収穫である。

歩き始めて1時間もしないうちに足がつる私。その都度立ち止まって、私の不甲斐なさ
を攻めさいなむオネエな外人。お姉さんはテニスとビーチバレー(なぜかこの世界の
人たちの間で人気)で日々鍛えてるマッチョなので、こんなことではへこたれない。

すると、後ろからやってくる半そで短パンの外人集団が追い越し際に、

「Stink! puke! shit smell!(クサイ!オェッ!ウンコのにおい」

と、叫んだ。確かにそばには山小屋便所が。ちなみに半そで短パンは、カナダ、
アメリカ、オーストラリア等新大陸系外人のデフォなファッション。センスとか一切
お構いなし。この外人のコメントに嫌な予感がした私をよそに、すでにお姉さんが彼らに
向かって叫んでいる。

「Indeed!(ホントに!)」

お姉さんは陽気なゲイで周囲の人をすぐに巻き込んでしまう。ウザいからやめて、という
私をよそに早速女子を中心に人気を集めている。私を見ながら、可愛い彼女ね!とお世辞を
いうオーストラリア人女性(やっぱり)に向かってオーマイガーとか言ってる。冗談じゃない
わよこっちだってねぇと戦いが始まり、あっという間に「面白い二人」ということで仲間に
された。

その後、山道はどんどん険しくなり一人で通るのがやっとになると、足の痛い私を先頭に
して歩こうということになり、その後に外人たちが一列に続いた。世も明け始めた薄明かりの
中、ふと後ろを振り返ると何時の間にやら総勢30名を超える外人部隊が出来上がり、口々に
ゴミが多いなどと文句を言いながら私の後を着いてくる。その遥か後方で、ニコニコと
手を振るお姉さんの姿が。

一体誰のせいで、こんな多国籍軍を率いる羽目になったのだ、と思う。昔読んだグリムの
おとぎ話。正直者のもつ金のガチョウにくっついて一列につながるマヌケな一団。私は今、
その先頭にたってうるさい外人たちを束ねていた。

山頂に着くと皆で一列になってご来光を待つ。このためだけに登ってきた私。
するとそれまで晴れていた空がにわかにかき曇り霧が発生。外人部隊の怒号飛び交う中、
小雨を受けながら下山を開始した。私はこの時まで山は登ったら同じ距離を下りる
のだという、しごく当たり前の事実に気づかなかった。急にテンションがおかしくなり、
お姉さんにあたり散らしながらようやく五号目にたどり着く。ちなみに五号目は
スッキリと晴れ渡っていました。

今となれば懐かしい思い出。でも、山登りと山のトイレはもうこりごりでございます。

スポンサーサイト

コメントの投稿

 管理者にだけ表示を許可する

ウォーリックさん、こんばんは。

確かに、昔のトイレは垂れ流し
汚い、暗い、最低最悪のトイレでしたが
それが、問題になり
最近、富士山のトイレは綺麗になりました(テレビで見ただけ)
匂いもしないと思います。
かなり、改善されたはずです。

バイオトイレになってるはずです。

この目で確認はしていませんが・・・。
小判鮫のコバンちゃん | URL | 2013/06/25/Tue 01:06 [編集]
Re: タイトルなし
コバンちゃん様:あ、地元山梨からクレームがw
貴重な情報ありがとうございます。この登山は1997年の夏でしたから、
ずいぶん昔ですね。もしトイレが綺麗ならもう一度登ってみたいと思います。
今度はうるさい外人抜きで。
ウォーリック | URL | 2013/06/25/Tue 01:38 [編集]
おはようございます、のご挨拶もそこそこに、
アハハ、思わず笑ってしまいました(失礼!)。
息もつかせぬ&手に汗握るドラマチックな展開、
これだけの長文を一気に読んだのは久しぶりです。

私も富士山には生涯一度だけ登りましたが(もう登ることはないでしょう)、
その時は6合目から上はまだ雪に閉ざされていて、
幸い?トイレの臭いは嗅がずにすみました(笑)
一本の葦 | URL | 2013/06/25/Tue 09:17 [編集]
Re: タイトルなし
一本の葦様: コメントありがとうございました!いつも長くてすみません。冬山登山でしょうか?
ウォーリック | URL | 2013/06/25/Tue 18:17 [編集]
これもとても面白いです!
あったこともない登場人物の姿がありありと目にうかぶようです!
M. | URL | 2013/06/28/Fri 23:01 [編集]
Re: タイトルなし
M様: いつもコメントありがとうございます。
あまり日本人の友達がいないもので、ちょっと淋しいですw
また遊びに来て下さい!
ウォーリック | URL | 2013/06/29/Sat 15:16 [編集]
トラックバック
トラックバック URL

Copyright © 阿鼻叫喚 (あびきょうかん). all rights reserved.
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。