猫と海辺に暮らす翻訳コーディネーターの阿鼻叫喚な日々を綴る日記。

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女優と呼ばれて
いつものように電車の中で、他の人たちのブログを訪れる。

ああ、今日は更新がない、などと心の中で思いながら、今日もブログをチェックする。
もはや他人とは思えないほどの心理的な距離。画面を開くや否や、パッと目に飛び込んで
くる個性豊かなトップページ。毎日、とっておきの写真や文章で綴られるそれぞれの「顔」
に、一人ひとりのブログへの愛情が感じられて楽しい。

と、ここまで書いたところで、目の前に立つ男性が咳をする。それに続いてくしゃみの連発。

「ん?」

私の頭の上に、クエスチョンマークが3つ。音声が乱れている。
固太りな感じの坊主頭で、身長は1m65cmほど。スーツを着ているものの、ソックスが
レインボーカラーなのを、私は見逃さない。ある範疇に住む人々を見抜く目だけは
こえている。

目は口ほどにというけれど、そこはどうして、声もなかなかあなどれないの。

男らしい大きなくしゃみの後で、そっと鼻から抜ける「ウッフン」。続く咳の語尾
にかすかに残る「アハン」の余韻。オネエマンだわ!

どんなに頑張っても隠しおおせるものではない。不意に電車に駆け込む時の小走り
や、グラスを持つ手の不自然な小指の立ち具合、そして何より無駄に長いまつ毛
とうるんだ瞳。お姉さん、もうバレバレよ。

特に坊主頭で男らしさを無理無理に演出しようとするからこんな痛いことになるの。
何一つ恥じるこたあない。そのままでいいのよ、あなたのままで。

自分のことがわかっていない最たる例がこの私。人のことは何一つ言えたものでは
ない。

先日、私の友人が放った一言は、私を奈落の底に突き落とした。貞子の井戸。
例の宴会の席で、アメリカ人の友人がニコニコと話しかけてくる。

「あのね、ウォーリックさんは女優さんに似てる」

「えっ?」

我が耳を疑いながら、きっと私の顔は輝いていたと思う。なぜならこの人物は
堅物で、決して気の利いた冗談など言えるタイプではないのだ。

身を乗り出してその名前を待つ私。周囲も興味を持って固唾をのむ。

「TBSのアナウンサーとバスガイドのコスプレで…」

ええっ、と思う。コスプレという言葉で、すでに尋常な女優ではない。
周囲からクスクスとこぼれ笑い。

「あの旅行のCMの、ピンコ・イズミだよう」

何よ、その「…だよう」って。どうせこんなオチだろうと思った。酒に任せて
衆人大爆笑の渦の中、また私の目からビームが発せられているのを感じる。

「でも、顔とか声じゃないよ」

泉ピン子が出た時点でいかなるフォローも無意味なのだ。ご自身だって
キャシーベイツの男版でございますわ、と思う。彼によると、酒の席で女性社員を
いじめていた酔っ払いを執拗に攻めさいなむ私の口調が、そのままピンコ・イズミだ
という。ここでうかつにも他の同僚が口を挟んだ。

「そうそう、もう本当に逃げ場がないところまで追い込む感じ」

今度はそちらにビームが飛んで、あたふたと口ごもる同僚。同意する意見はあっても、
否定擁護がない今、私が怒り狂った時の口調は、やはりピンコ・イズミなのだ。

現実はいつも厳しい。

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