猫と海辺に暮らす翻訳コーディネーターの阿鼻叫喚な日々を綴る日記。

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家の庭
家の猫の額ほどの庭。この庭が最近「けもの道」としてご近所の猫たちの人気を
集めている。

そもそも私は、庭いじりというものが大嫌い。それなら、なんで庭のある戸建て
を買ったのか。これも行きがかり上、仕方なく買ってしまった。私の人生はいつも
こんな感じ。買ったといっても、いつ払い終えるか分からない(実際よく把握
していないのだけど)住宅ローンが果てしなく目の前に続く。

当初は綺麗だった内装も、猫三匹の攻撃で大変なことになっている。だから、
人も呼べない。

庭とて同じこと。入居当時は、子供の頃から夢にみたバラのアーチが欲しくて、
家の外装や景観は一切無視。お蝶夫人の背景に飛び散るバラの花びらを散らす
ために、早速、近所のホームセンターで鉄製のアーチとバラの苗を買って
来た。

本当は真紅のバラが良かったのだけど、

「手入れが大変で、虫がいっぱいつきますよ。」

と言うカインズのお兄さんのアドバイスで速攻却下。この「虫」というキーワード
は、蛇と並んで私の人生にないことになっている。

その昔、実家の猫が葡萄の木陰で遊んでいるのを見つけた私は、しゃがみこんで
彼を呼んだ。遠くからかけてくる愛猫。その頭には、色鮮やかな緑色のちょんまげが
ついている。自然界には存在しないような、極彩色の正体を突き詰めるべく、
私は疑うこともなくそれをつまんだ。本当に緑色のクリスマスデコレーション用の
モールか何かだと思ったの。

そして、ご想像のとおり、その物体は半透明に波打つ内臓と、規則正しく動く
無数の足をもつ軟体動物だった。あまりの大きさに驚き後で図鑑を開くと、何とかと
いう日本最大級の蛾の幼虫。私はつまんだ瞬間、笑っていたように思う。

恐ろしくて一刻も早く手放したいのに、なぜか金縛り状態の私。おびただしい
緑の液体を絶えず口から吐きながら、悶え苦しむ幼虫をつまんだまま...そう、私は
恐怖で笑っていたと思う。

カインズのお兄さんの虫話におじけづいた私は、妥協してモッコウバラを選んだ。
妥協はいつも私の人生の味方??しかし、予想に反してこのバラが結構愛らしい。

アーチの横に2株植えるや、見る見るうちに成長してアーチにからみ、いつの間にか
なんちゃってお蝶夫人のバラになった。幸い虫もついていない。ただ、このバラは本当
に丈夫で、アーチの地肌が見えないほどに繁茂状態。そして、初めての台風を迎える
や、自らの重みでアーチをなぎ倒し、そのまま根元からもげてしまった。こうして私の
バラのアーチは夢と消え、モリモリになったバラがつっかえ棒で立っている。

こんな庭でも、暖かくなってくると草むしりをしなくてはならない。カインズの
お兄さんに騙されて買った、めっぽう使い勝手の悪い熊手みたいな器具(私はこの
器具の正式名称をしらない)を片手に、庭の端にしゃがみ込む。サクッと一振り、
土をほじくり返すと、そこには阿鼻叫喚の世界が!

子どもの頃、皆で大きな石をひっくり返しては、その下から色々な形の生き物が
出てきて、みんなでキャーという。気持ち悪いのが分かっていながら止めることが
できないアレだ。土の下からはナウシカの虫みたいなのが、ゴロゴロと転がり
出てくる。本当に次から次へと出てくる。

固まっている私を横目に、いつの間にやらムクドリとスズメの混合部隊が庭に
飛来すると、恐怖に怯える私の目の前で横一列に隊列を組む。そして、いかにも
嬉しそうにデデデと前進しながら、丁寧にナウシカの虫をついばんでいくでは
ないか。虫も怖いが、それを食べるムクドリはもっと怖い。あんなに地味な
鳥なのに.....

この庭にはイチジクの木もある。

私はイチジクが嫌いで、生涯で一度も口にしたことがない。嫌いな理由はあの
ビジュアルだ。微妙な色あいの皮をむくと、中には腐乱した昆虫の卵のような
ブツブツがみっちり詰まっている。そんなイチジクがなぜ家の庭にあるのだろう。

こちらも行きがかり上の理由。外国人の友人が、縁日で買ったというイチジク
の鉢植えを帰国時においていった。まさかこんなに大きくなると思わなかった私は、
それを庭に植えたのだ。

そして2年。今やイチジクは2メートルほどに育ち、たくさんのエイリアンの卵を
つけている。やがて夏にはドドメ色に変色し腐って落ちる頃になると、あのムクドリ
たちがたかって食べている。

結局、家の庭には、斜めに傾いたアーチに寄生するモッコウバラと、巨木と化したイチ
ジクの木、そして、ハーブガーデンで買ったローズマリーが、魔女の髪の毛のように
地をはっている。

こんなつもりではなかったのだけど、雑草が生えても除草剤は絶対に使わない。怯え
ながらも草むしりをしなければならない理由は、冒頭の「けもの道」だ。ご近所の
猫たちが家の庭で遊んだり、イチジクによじ登ったりする限り、はだしの彼らの通り道
に除草剤を撒くことは絶対にできない。

おかげで家の庭は、巨大な昆虫たちと猫の楽園になっている。




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