猫と海辺に暮らす翻訳コーディネーターの阿鼻叫喚な日々を綴る日記。

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南京玉すだれ
受験について書いているうちに、苦い思い出が脳裏をよぎる。

それはとある大学の受験会場、試験開始前の緊張に包まれていた私の脳裏に突然
「南京玉すだれ」という言葉が浮かび上がった。
なぜこのタイミングでこの単語が出てきたものやら、今となっては定かではないのだけど、
私の場合、こういうゴロの変わった言葉に脈絡もなくやられてしまうことが多い。
(「おたんこなす」「ずいずいずっころばし」「まえだびばり」「どどいつ」「おどま
ぼんぎりぼんぎりぼんからさきゃおらんと」など。

特に「決して笑ってなどいられない」緊張を伴った状況下で、こうした言葉がつぼ
にはまることしばしば。本来、何の面白みもない「南京玉すだれ」が、この時は
おかしくておかしくてたまらない。

南京玉すだれは、お正月にテレビでみられる大道芸。
「あ、さてさて、さては南京玉すだれ」妙な帽子をかぶった芸人が、能天気な歌
にあわせて踊りながら、すだれを振り回す芸当。タップダンスや芸者の小唄と同じで、
楽しそうなのは本人のみ。見ている方は何が楽しいのかわからないまま、
聴衆を置き去りにして終わるアレである。

これから受験という時に、試験官の注意も上の空で必死に太ももをつねる私。体が
小刻みに震えるものだから、長いすの反対側に座った神経質そうなマスク男が、
うさん臭そうな顔でこちらを見つめる。何よ、それどころではないのだ。しかも
この時は「はないちもんめ」のあわせ技で来たからたまらない。


「隣のおばさんちょっと来ておくれ」
「鬼が怖くて行かれませんっ!」

「お布団かぶってちょっと来ておくれ」
「お布団ビリビリ行かれませんっ!」

「お釜かぶってちょっと来ておくれ」
「お釜底抜け行かれませんっ!」

これは一体どういう状況なのだろう。

「底抜けお釜」や「ビリビリ布団」といった昭和グッズ。それを、隣のおばさんに
かぶらせて鬼!?を防御。そもそも、お釜とか布団が鬼に効力を発揮するものなのか。
さんざん呼びかけさせたわりには、思いっきりお断りしたりと身も蓋もない。
実は悲しい背景に彩られた「花一匁(はな・いちもんめ)」であるとは露知らず、
私はつい最近まで人の名前だと信じて疑わなかった。苗字が「はないち」で
名前が「もんめ」。

芋づるの連想で、わらべ歌にふれた私の記憶は、私の子供時代の南京玉すだれ
体験に逆流し、クラスのおバカな同級生たちがこの歌を好んで歌っていた記憶に
たどり着いた。あれは3年生の3学期、誰が歌い始めたものか休み時間になると
決まって教壇にあがり、手踊り付きで一斉に、

「あ、さてさて」
「さてはなん、きんたま、すだれ」...ワーッ!みたいな

切り位置を変えるだけでこんなに下品な歌に。子供は本能的にこういう下品な
下ネタが大好物である。何が楽しいのか今となってはわからないのだけど、
異常に興奮しては何度も同じ節を繰り返していた。

私の記憶がここまできたところで、笑いのつぼは一通りなりを潜めた。そう、
当時は本当に何がおかしいのかわからなかった。ついそれを口にして友達にハブ
られたつらい体験を思い出し、南京玉すだれは私の心の底に沈んでいった。

きょうび南京玉すだれは、指導DVDがついてアマゾンでも購入できる(「南京
玉すだれもアマゾン!」)。流派やバリエーションも多く、各種保存協会や
カルチャースクールですだれメンバーになれるらしい。あなどってはいけない。
こんなにもマニアックな需要が人知れず人気を博している。

ただ、私が知らなかっただけなのね。
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