猫と海辺に暮らす翻訳コーディネーターの阿鼻叫喚な日々を綴る日記。

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性同一性障害
これは私の体験した阿鼻叫喚の中でも珍しいケース。約1年をかけて
じわりじわりと真綿で首を絞められた長期戦のお話しです。

内容がデリケートなので、いつもながらまず始めに宣誓文。私は
「性同一性障害」とされる人々、またゲイと言われる人々、鍋釜一式取り
揃えて一切の偏見をもっていません。

最近、少し市民権を得始めたとはいえ、当事者たちには目に見えない侮辱や
口に出せない屈辱があるはず。性のオリエンテーション、障害の有無、人種
差別や病気への偏見、今、クローズアップされているいじめや人権問題を含め
すべての差別がなくなってしまえばいいと心から思っています。
ここのブログでいつもチクチク書いていることは、人としてどーよ、と感じる
人に、あくまで私なりの遠吠えをしているつもりなので誤解のないように。

あまり詳細を書くと特定されてしまうのですが、とにかく私の職場は
変わった人が多く、リストカッター、ストーカー、鬱病、性同一性障害、
発達障害、ADHDと人格障害のパラダイス。それでいてなぜかみな一流大学卒
や院卒だったりする。

明らかなオネエキャラは2人。そのうち1人は肉体改造はしないものの、
いわゆるゲイのネコ。大地真央をこよなく愛し、アパートのご近所に煮物の
おすそ分けを振舞う庶民派の32歳(当時)。短めに刈り上げたクルー
カットに得体の知れない香水をつけ、身長160cmにシークレットブーツという
いでたち。見た目は小太りのえなり君だった。彼は、残業時間になると
眉毛がなくなる。

仕事中は電話の受け答えを始め、一生懸命に声と表情をつくり、痛々しいほどに
まっとうな社会人をやっているのだけど、残業で残っているメンバー
のみになると突如としてオネエ全開になる。たぶん本人的に限界だったの
だろう。眉毛は眉頭から瞳の上までの半分を残し、眉尻は青々と剃ってあった。

5時を過ぎるあたりから顔全体が脂で覆われ始め、眉尻が徐々に落ちていく。
それといれかわりに、真っ白なあごやもみ上げ近辺に青々としたひげが
生え始めるのだ。

「あたしの顔ったら、見てらんないっ」

と、脂とりがみで押さえる姿が愛らしい。ちっとも恋人ができないのは眉毛の
形に問題があるのだそう。でも体だけの関係はいやなので貞操は断固として
守るといっていた。なぜか気に入られた私は一緒に大地真央さんの舞台に
いかが、と誘われたけど、いろいろな意味でお腹いっぱいで行けなかった。
そうこうするうち3ヶ月ほどで辞めてしまった。大学院を出た、自称高学歴オカマ
と吹聴していた。

さて今夜のヒロインはもう1人のオネエキャラ。入ってきた当初より見るから
に丸出しで、油断すると声が1オクターブ裏返ったりは日常茶飯事。興奮すると
ヨーデルになる。にもかかわらず、先ほどの真央キャラのようなカミングアウトは
絶対にしなかった。

顔は自称ジュリア・ロバーツ、でも笑い声が明石家さんま。こちらはあゆ
の大ファンで、机の上はデコシールでギラギラに盛られた携帯や鏡、
あゆグッズとスナックのくずや食べこぼしで大変なことになっていた。
自分にゆるい割には、他人に容赦がない。隣の席の発達障害♂に向かって、

「虫がわくから片付けなさいよ、だらしないわねっ」

と言い放つ。仕事中は、空き机に移動して突っ伏すと、突然あゆの歌を歌い
だしたり、お客さんへの電話では上から目線で駄目出しをしたりしていた。
キャラ全体から放たれるしょっぱい感覚...
とにかくそれでも男だといいはる彼が急に大人しくなり始める。

口数が少なくなって2ヵ月が過ぎたある初夏の日、ぼんやりと彼の背中を
見ていた私の目に、薄いTシャツを透かしてキャミソールの肩紐が見える。
いやいやそれは気のせい、と思い直し何もなかったことに。それから1ヵ月
が過ぎたとある夏の日、またぼんやりとみつめた彼の背中にはキャミソール
の肩紐に加えてブラの線がくっきり。そう、確実に進歩しているのだ。
この日、給湯室はこの話題で持ちきりで、皆一様にカミングアウトの
Xデー確信していた。

そして次の日、白雪姫のちょうちん袖のようなTシャツの胸元は叶姉妹アニキ
ようにはだけて、顔はフルメークでの出社...とうとう化けた。

会社の上司と共に会議室に閉じこもること小一時間、出てくるや否や
私の机にくると、

「黙っていてごめんなさい。私、性同一障害なんですぅ。」

という。もう我慢ができないので年末タイに行って手術をする旨、
そして、1ヵ月前から女性ホルモンを打っているなど、聞いてもいないプラ
イバシーを一方的に話す。

皆さんは、男で入社した同僚が徐々に女にトランスフォームしていくのを
目の当たりにしたこと、ありますか?

冒頭の通り、この障害には一切の偏見がないのだけど、彼の場合はパーソナリ
ティがあまりにハイパーだった。同じチームメンバーに断りもなく手術の
日取りを勝手に決めて二ヵ月の休職。直ったタイミングで復職したい旨、また
休みはすべて有給休暇がデフォ主張の数々で、周囲への配慮は一切なし。

手術後に復帰すると、いかに大変だったか、また恋人ができないうちは患部が
閉じてしまわないように太さの違う3本のシリンダーを駆使して、徐々に広げ
ていくのよ、などと生々しい。これらはすべて老若男女が集う宴会の席で
のたまわれた。巨乳になりたいので、今度はシリコン○○cc入れてぇ、と。
経験から言って、こちらの組合の人々は、人前で自らの性生活を披露して自爆
することが多いように思うのだけれど。

晴れて女性になってからは、嬉しくて仕様がないのが傍目から見ても
分かって、ちょっとかわいらしいと思ったのもつかの間。

ある日客先から帰ってきた彼女のコスチュームは、首の周りにボアを巻き、
コートの下はレザーのボンデージっぽいパンツスーツ。

「まさかそれで客先に..ぃ?」

怯える私に、明石家さんまの引き笑いで、

「さすがにこれはバッグの中よ」

と言ってボアを振り回す。シルバーのミニスカートをはいてきた日は、
落ちた書類を拾うときにパンツ丸見え。他の女性社員に注意されているところ
を振り返ったイケメンに向かって、お股と胸元をおさえながら一言。

「見ないでっ」

あのね、ウチらはあんたが男だったときから知ってるんじゃ。自分だけ
勝手に何にもなかったことにしてるけど、本物の女は会社にミニスカート
はいてきたり、胸元あけて女アピールなんか絶対にしない。

あれだけ小ばかにしていた隣の発達障害男に向かって、グロスで黒光り
するアヒル口アピールとか、エクステとウィッグで盛り髪もりもり、
ドラッグクイーン(アゲ嬢)風の日もあれば、先ほどのミニでキューティ
ハニーみたいになってる日も。

「昨日はナンパされて大変!」

と、自分語り。聞けば声をかけてきた男は風俗のキャッチと黒服、場所は新宿
歌舞伎町とのこと。まっとうな女が1人で歌舞伎町を練り歩くとでも思って
いるのだろうか。まして風俗の勧誘など、決して誇れたものではないのだよ。

こんな彼女でも首になることはなく、客先の担当者たちも大人の対応
を崩すことはなかった。水商売だけはいや、といっていた彼女は日々、インター
ネットでいかがわしい「フロアレディ募集」の広告をチェックしていたが
(隣の発達障害男情報)、とうとう辞めてしまい、音沙汰もなくなった。

もしあなたの周囲で、明石家さんまの引き笑いをする女がいたら、注意して
みてください。

元気かな...
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| | 2014/08/04/Mon 22:32 [編集]
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