猫と海辺に暮らす翻訳コーディネーターの阿鼻叫喚な日々を綴る日記。

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ある日、ココイチで
先日のこと、久しぶりに友人とCoCo壱番屋にカレーを食べに行った。

今、日本では、インド、スリランカ、タイからベトナムに至るまで、古今東西のカレーが
百花繚乱。日本人のカレー好きは本当に凄い。そんな私も御多分に漏れず、花見と
称して一人千鳥ヶ淵に足を運んでは、すぐそばのインド大使館で行われている桜祭りに
立ち寄って豆カレーを食べてくる。世界各国、どれもこれもそれぞれに特色があって
美味しいけど、やはり私は日本人。たとえなんちゃってでも、日本のカレーが一番口に
合う。たまにココイチのゆるゆるカレーが無性に食べたくなるのだ。ただ、ギャラリーと
しての客層が毒女のお一人様にはキツくて、ココイチ突には必ず友人ご同伴が
常となっている。

一人で行くのに敷居が高い理由は他にもある。メニューにAKBがフィーチャーされて
たり、会計時にアニメのココイチグッズのくじ引かされたりと、かなりマニアックに
絞り込まれたターゲット層。マーケティング的にどうよと思う。更に多国籍軍で、時に
ジャージ姿の中国人客の集団が鼻穴に五本の指を高速で出し入れするから
コワイ。

鼻穴といえば中国人。数人でカウンター席に横ならぶ中国人男性客の姿はココイチ
のデフォな風景。皆、直毛で髪型が一つしかないのですぐに判別可能だ。カウンター
席についてメニューを開くや否や、左手の小指がすぅっと鼻穴に吸い込まれていく。
あの国では人前で鼻穴に指をいれてグリグリかき混ぜたり、それをそのまま口に
運ぶというオッペケペーな動作が見苦しいことではないらしい。簡体字のスマホ見ながら
カレーが来るまで、彼らの鼻穴から指が抜けることはない。他にもキノコ頭の韓国人が
スミダ、スムニダ言ってるけど、さすがに鼻穴に指は入れていないわね。
なんだかココイチったらインターナショナル。

久々に友人と訪れたこの日は、珍しく直毛中国人もキノコ韓国人もいない。時間が
早かったせいか、お店は私達だけだった。するとすかさず友人が一言、

 「本当、ウォーリックと一緒だと空いてていいわぁ」

と、広々ボックス席にデンと座った。

皆さんの身の周りには 「その人が店に入ると、そのお店が満員になる」 という
レジェンドはいないだろうか。

実は私がそうなのだ。

お腹が空いている時に、レストランの入り口で並ぶ忍耐力のない私。そんな私の
プライオリティーは、すぐに座れて静かに食事ができること。この日も入店時の
ココイチはガラガラだった。「さて、今日もここからお会計までに満席にするかしらね」
と友人がつぶやくが早いか、入り口のドアがあいてジャージの男がはいってきた。

ナス頭。髪がポマード付きでベッタリと頭蓋骨に張り付いていると思ったら、
あれは少なくとも二週間以上髪を洗っていない猛者よ、と友人が言い放つ。びゆびゆと
全身ハス画像になる私。

えんがちょしながら心の中でバリアを張る。

検便容器を落として中身の具をさらした子、遠足のバスでゲロをばらまいた子、
ギョウチュウポキールを袋に入れなかった子、犬のウンコ踏んずけた子、いなかの
ぼっとん便所のキョーレツなビジュアルや攻撃的なにおい.........

そう、子供の頃の私は、いつもこうして世の中の汚いものから身を守ってきた。
役に立たない心のバリアは、しょっても起きられないほどの年齢になった今も健在だ。
中国人の鼻穴やガビガビのナス頭の厳しい現実。その時、頭の中では自動的に
プロジェクションマッピングのスクリーンが降りてきて、ある映像が流れ始める。
それは、静岡県に残された最後の清流、柿田川と、そこに浮かぶ水中花。あまりの
透明度ゆえにその存在さえ忘れさせる水の流れで、この世の中の汚いものを
すべて流し去る私のこころの消しゴム.....

別にオタクでもいい。でも、寄る年波でいくら男性に対するハードルが低くなった
とはいえ、ばばっちい人は遺伝子組み換えて人間やり直して欲しい。

無意識に備え付けのウェットティッシュでゴシゴシとテーブルを拭きだす私、それは
何かを拭かずにはいられない衝動。「ちょっと、そこ拭いてもきれいにならないわよ」
と友人が言う。また見破られた深層心理。

  「それより早く頼まないと会計が混むよ。ここのお客は早食いだから」

と、オーダーを急かす友人。そうね、とばかりに気を取り直してメニューを見る私の
背後にガヤガヤと男たちの集団が入ってきた。今度は手に手に紙袋をもって、
皆一様に山下達郎の顔をしている。いぶかしげに深呼吸をし、激臭がないことを確認
すると、今度はなんでみんな同じ顔なんだろうという疑問が頭をもたげる。しみじみと
観察をしてみると、実は顔のつくりが微妙に違っていた。髪型が皆、山下達郎なのよ。

きょうびあり得ないストレートのロン毛。たまにカラオケDAMのフォークソングビデオで
見かける長州小力風味の昭和な散髪。妙にツヤツヤのキューティクルが頭皮の皮脂
もどきであやしい。一昔前のオタクイメージそのままの男四人組がガヤガヤと隣席に
つくなり、中でもとりわけガングロな男が歯ぐき全開で 「せっしゃはやはり二次元
の巨乳が大好物でござる」 などと言うものだから犬神家のスケキヨになる私。

それはアントワープの教会でルーベンスの絵を目の前に、ネロとパトラッシュが
穏やかに目を閉じる瞬間のこと。背中に小さな羽をつけた天使たちがふわふわと舞い
降りて、二人を天の光の中にいざなっていく。私が極度の恐怖におそわれ、もはや
柿田川なんかじゃ間に合わなくなった時、どこからともなく小っちゃなラッパを吹きならす
天使たちがワヤワヤと舞い降りて、私を全力で光の中に引きずっていく。

歯ぐき7割、歯が3割、口角に泡を吹き出しながら、幼女顔に巨乳なロリロリのセル画
を袋から取り出す男。苛立ち気に包装のビニールをバリバリ破り、セルをびらんびらん
して見せつけながら 「あん、たまりません、たまりません」 とか目が萌えてる。

ピンポン。

心の逃避を突き破り、卓上ベルがならされる。ロリロリの萌え芸に気おされている間に、
業を煮やした友人が店員さんを呼んでしまった。

あわわ、とタマゴサラダと烏龍茶にアサリのカレーを頼む。

すると隣のテーブルの四人が荒ぶっている。荷物が置けないのはお前がデブだからだ、
などと口々に罵り合い、テーブル備え付けのウチワを床に落としてしまった。おいっ、と
笑った素振り (怒っているのかも知れない) でテーブルを叩く手が太ましい。そして
その爪にはそっとフレンチネイル。五本すべての爪先が真っ黒な上、その表面には
ピカピカのパールが脂ギッシュに効かせてある。

ウチワを取ろうと前かがむ山下達郎は後ろから前から。ずり下がったパンツのお尻が
半ケツに、前は前とて腹肉がTシャツを豪快に押し上げてヘソ上までずり上がり、
山本リンダのうらら状態に (>_<)

強烈なストレスでジリジリとまたテーブルを拭き始めた私をよそに、友人はカウンターに
座るナス頭を珍しそうに眺めている。

するとそこに三人の中国人がドヤドヤとなだれ込んできた。出たなチャイニーズw
ちょっと油断してたわよ。遠慮というものを知らない彼らは、囁けない言語、北京語を
駆使してメニューを開くやピンポンを連打した。彼ら的にとてもお腹が空いていたらしい。
店員さんが来てもメニューから顔をあげることなく、

 「カツカレーご飯マシマシ、ポテト大盛り、ソース追加」 「三つ三つ」

とか言ってる。単語かい。

マシマシ.....北京語か?でも他は日本語だし、じゃあ擬態語、擬声語の一種かしら。
私の擬態音もよく変だと言われるけど、そんな私でさえ聞いたことがない音、マシマシ。
友人に聞くと、多分、増量するという意味なんじゃないの?と言う。

そう、ラーメン二郎だ。前の会社の同僚はアメリカ人のオタク。その彼がいつか私に
話てくれたラーメン二郎を思いだす。このラーメンチェーンでは、それぞれの店舗に
店々のいろんなトッピングがあって、通な人はもやしマシマシにして食べると
得意気に語っていた彼。そう、マシマシは確かに増量するの意だった。

メニューを見ていた友人が、「ほらほら、ご飯の量、変えられるみたいよ」 という。
見れば、チーズから唐揚げまで、何でもトッピングができて、ご飯やルーの辛さも自由
自在に変えられるのだ。ポテトまである、しかも大盛り (>_<)

カロリーを気にしないデブに怖いものはないのよ。それでなくともハイカロリーな
カレーに、肉にパン粉つけて油であげたカツとチーズのトッピング、しかも炭水化物の
ご飯マシマシで、トドメにポテトの大盛り。糖尿病へのあくなき挑戦がハンパない。

それを見ていた隣のデブオタ四人組が 「さすがのあっしらも中国人には勝てる気が
しませんな」 とか言ってる。さっきからなんで岡っ引き口調なんじゃ。勝てる気がしない
などと言いながら、手仕込みカツに揚げ物のコンボオーダーしてるじゃないの。

次々と運ばれてくるカレーと揚げ物。彼らは1分ぐらいで平らげ、怒っているのか
笑っているのかわからない表情でポテトをわしずかむ。デブの表情は本当に
測りがたい。ウガンダさんのあの名言 「カレーは飲み物」 というフレーズをぼんやり
思い浮かべた私は、パンスト顔の男たちを目の前に遠い目をしていたと思う。

トイレ帰りに見つけたガチャガチャの写メを撮る友人が遠くに見える。その彼女を
ねっとりと追いかけるナス頭の視線に恐怖しながら、ひとりアサリカレーを食べていた。

その後も順調に客足が伸び、いつも通り満員の店内。

夜の底が白くなった、店の空気が薄くなった。そして汗臭い。むせ返りそうな熱気の
中、饐えたようなすっぱい匂いまで充満して、気が遠くなっていく私。止まり木にとまる
子だくさんのジュウシマツのようにカウンター席に連なる男たちの後ろ姿はもれなくデブ。
白のボーダーTシャツのコーデが贅肉をマシマシに見せるのよ。なんで白、着るかな。

ポテトでテンションが上がった隣席のオタが、白目をむいて自分語りをしている。
中国人三人組の小指が高速で鼻から出入りするのを見ながら、友人を見つめるナス頭と
目が合いなんか不安になった。

ウエストポーチに短パンの小デブなおっちゃんや、腰にチェーンがいっぱい巻き付いた
中年ロッカー風のデブ、リュックから長い筒状のものをはみ出させた学生風デブと、
いつの間にかココイチ店内がデブのバリエーションで満たされる。店内をゆっくりと
見回した私。

「で、デブ祭りじゃないの」

甲高い声で饒舌に選挙 (AKBの方) を語るオタを横目に、デブ祭りのココイチを後にした。



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