猫と海辺に暮らす翻訳コーディネーターの阿鼻叫喚な日々を綴る日記。

スポンサーサイト
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

宜保愛子
上野でウィリアム・ターナー展をみた帰り道、久しぶりにお茶の水の街を歩いた。

画材を買って神田明神を通り過ぎる。そういえば昔ここで桜田淳子が壺を売って
いたという都市伝説が頭を過った。路上に潰れたぎんなんの汚物臭にまみれながら、
なぜだか桜田淳子がツボにはまって笑いが止まらない。

そうそう、「壺」 と言えば宜保愛子 (ぎぼ あいこ) 。ニコライ堂を通り過ぎながら
「韓国の壺は危ないわよ」 と言ってメディアを追放された霊能者を思い出した。

私は、どこか憎めない彼女が大好き。ボヘミアンの葛城ユキとライス国務長官を足して
二で割ったようなゴーゴン顔。流暢な英語を話す長身でスタイリッシュな彼女は、霊界を
感じさせるおどろおどろしさがない。顔だけがひたすらに怖いのだ。そんな彼女は当時、
とんねるずの石橋演じる 「いぼタカこ」 としても名を馳せていた。

そもそも一介の主婦だった彼女は、心霊研究家の新倉イワオ氏に見いだされ一躍
メディアの寵児となる。子供の頃、夏休みになると決まって組まれた心霊特集。特に
「お昼のワイドショー」 の再現フィルムは、日本中の子供達をビビらせていた。新倉
イワオはこの番組の放送作家。残念ながら自分では霊が見えない彼は、宜保愛子を
伴ってお化け屋敷を探訪していた。

二人が行く海外の心霊スポット特集は絶対に見逃さなかった私。いつも番組前に
トイレを済ませると、後々困らないように廊下の電気をすべてつけっ放しにしてテレビ
の前に陣取った。そんな中、今も忘れられない海外の廃墟特集がある。

鬱蒼と生い茂る木立の中にたたずむ木造の家。大きな屋敷はボロボロに朽ち果て、
昼間にもかかわらず、ドヨヨンとこの世のものではないたたずまいを見せている。
この回はいつになく宜保さんが怯えていた。かなり強烈な霊団らしく、屋敷への道々
お清めの塩をまき散らしては、ああ恐ろしいなどと言っている。すると新倉イワオが
宜保さんに向かって一言、

 「それじゃあ、夜に出直して来ましょう」
 
 「・・・・」

セッティングは十分怪奇なのに、私はその日の宜保さんのファッションが気になって
集中できない。ブランドのTシャツにパンツ姿の宜保さんは、なぜだかそのTシャツの
上からベルトを締めている。ガッツリ締め付けられたお腹は、横から見ると真っ二つに
割れてすごいことになっていた。恐怖特集にもかかわらず、どうにもベルト位置が気に
なって恐怖に浸りきれないのよ。

そしていよいよ夜。照明さん、カメラさんの前をあるく宜保さんと新倉イワオ。怯える
宜保さんが 「二階の窓から大きな顔がこちらを見ていますよ!」 と訴えている。新倉
イワオは霊が見えないので一人でグイグイ行ってしまった。そこでドブ板を踏み外すや、
その音に驚いた宜保さんやカメラクルーが絶叫しながら逃げて来る。漆黒の闇に一人
取り残された新倉イワオの悲しい叫びがこだましていた。

仕切り直しとばかりに屋敷に戻る一行。するとドブ板の恐怖からか、いつの間にか宜保
さんのベルトがズレていた。膨らんだお腹の上にずり上がったベルトは、後ろからみると
ウエスト定位置にあるものの、前から見るとバストの下に挟まってひどくこっけいな
状態に。

怯える宜保さんを無理矢理先頭に立たせて、一行は二階への階段を上がっていく。
おもむろに階段の角を曲がるやいなや、宜保さんが悲鳴をあげた。

 「あそこに寝てますよっ!」

見れば、朽ち果てたベッドの掛布団がめくれ、そこに半身を起こし顔が半分腐り落ちた
老女が、目を真っ赤に充血させてこちらをにらんでいるという。それでも霊が見えない
新倉イワオはお構いなし。どこですか?と平然とした声で怒りに震える霊に向かって
グリグリと懐中電灯を向ける。恐れおののく宜保さんに、

 「じゃ、その布団をめくって下さい」

今、霊がかけて寝ている掛布団をめくり倒してくださいと言う。霊が見えないもの
だから言いたい放題。えっ、信じられないという顔で新倉イワオを睨み返す宜保さん。

 「こ、これをですか?歯をむき出して威嚇してますよ」

という宜保さんに向かって、新倉イワオがあっさり、

 「めくって下さい」

腰が引けてへっぴり腰になった宜保さんのベルトは、すでにバストのあたりまでずり
上がっていた。彼女がめくる掛布団の下に何があるのか、一同がかたずを呑んで
見守る中、一気にめくられた布団の裏には、どす黒く変色した血痕が一面に染み
付いていた。

あ゛~と悲鳴を上げながら、デデデデと走り去る宜保愛子と新倉イワオ。そして
それに続く照明さんとカメラマンたち。何が何だか分からないうちに今回の怪奇特集
が終わってしまった。

その後の彼女はピラミッドの謎を解明したり、マリーアントワネットとお話ししたり、
ダヴィンチとノストラダムスの遭遇を霊視したりして八面六臂の活躍を見せていく。

しかし、オウム真理教その他のカルト宗教が社会問題化するにつれて、うさん臭い
ものとして葬り去られてしまった。

当時、宜保さんを叩いていた某大学教授は 「科学で証明できないものはない」 と
言う。科学者としていかに僭越でおこがましい態度かと思う。世の中は分からない
ことだらけ。そんな事象を仮説に基づいて実験し少しずつ理論化したものを、人間が
勝手に 「科学」 と呼んできたに過ぎない。有史以来、最近になってやっと学問と
しての入り口に立ったばかりの科学。まだまだこの宇宙には人間の計り知れない
ことがたくさんあるのだ。

優れた科学者は、こうした目に見えない自然の摂理に謙虚だ。それは、人智を
超えた英知に畏敬の念をもってこそ、これから解明されていくであろう未知の事象
からインスピレーションを受け取ることができると知っているから。

もし科学が万能であるというならば、すぐにでも 「なぜ人間は生まれてくるのか」
という人類の永遠のテーマに答えてもらいたい。それができないのであれば、逆に
科学で証明できないものの方が遥かに多いと知るまで、自らの浅薄な知識で未知の
事象を否定するのは止めた方がいい。不遜な態度は、それが科学者としての限界で
あると知るべきだ。

本物の霊能者か、はたまた詐欺師か。

数々のバッシングの末、2003年に宜保さん、そして昨年には新倉イワオ氏も
亡くなってしまった。今頃二人は霊界で何をしているのだろう。


スポンサーサイト

コメントの投稿

 管理者にだけ表示を許可する

管理人のみ閲覧できます
このコメントは管理人のみ閲覧できます
| | 2013/10/28/Mon 18:54 [編集]
こんばんわネリムです。
宜保さん懐かしいですね。
宜保さんは霊界で新倉さんと話している気がします。
ネリム | URL | 2013/10/28/Mon 20:42 [編集]
「あなたの知らない世界」めっちゃ見てました^^
見てる時より後でじわじわくるんですよね~
moai | URL | 2013/10/28/Mon 22:13 [編集]
Re: タイトルなし
800びくに様:いつもコメントありがとうございます!

わざわざご丁寧にありがとうございました。
ウォーリック | URL | 2013/10/28/Mon 22:30 [編集]
証明できないものを証明するのが科学者だと思うんです。
だから、すでに証明されたもの以外、探究しようともしない科学者は科学者ではないと思いますねw

宇宙からしたら、人間世界なんてミクロの世界ですよね。
だから、人知では想像もできない事が起きる事に不思議はないですよ。
時間という事ひとつ取っても、私たちの時間と別の次元の人たちの時間では概念が違うと思いますしね。
色々とまだ証明されていない事が多いですけど、未知の世界って興味深いですb
ウダモ | URL | 2013/10/28/Mon 22:31 [編集]
Re: タイトルなし
ネリム様:いつもコメントありがとうございます!

亡くなる数年前の2000年頃から、ネプチューンと番組をやっていたような
気がします。ネリム様は宜保さんの年齢層ではないと思っていたので、
ご存じで嬉しかったですw
ウォーリック | URL | 2013/10/28/Mon 22:34 [編集]
Re: タイトルなし
moai様:いつもコメントありがとうございます!

本当に後からジワリ。夜、トイレの蓋をあけると、大きな顔がこちらを見つめていた
なんていう子供泣かせのネタが多かったです。いつもギリギリな感じでしたw
ウォーリック | URL | 2013/10/28/Mon 22:38 [編集]
Re: タイトルなし
ウダモ様:いつもコメントありがとうございます!

アメリカのNASAや旧ソビエトでは超能力研究を軍事に生かしたり、イギリスには
心霊研究協会も存在する今、何故か日本のマスコミはこうしたことにとても
否定的ですね。日本人はこういうことにあまり抵抗がないと思うのですが...
ウォーリック | URL | 2013/10/28/Mon 22:52 [編集]
宜保愛子
懐かしいですね!
って、亡くなったの?
知らなかった!
小判鮫のコバンちゃん | URL | 2013/10/29/Tue 00:16 [編集]
Re: 宜保愛子
コバンちゃん様:いつもコメントありがとうございます!

70年代から活躍していたので、結構な期間テレビに出ていたと思うのですが、
亡くなってもあまり大々的に取り上げられませんでした。もうああいうタレント性を
兼ね備えた「テレビ的な」人は出てこないと思うので、とても残念です。

ウォーリック | URL | 2013/10/29/Tue 13:55 [編集]
宜保さんって、とてもいい人だったと聞きました。
亡くなっておられたなんて残念です。
HePo6479 | URL | 2013/10/29/Tue 23:00 [編集]
Re: タイトルなし
HePo6479様:いつもコメントありがとうございます!

本人の言葉に愛情が感じられて、とても人気がありました。散々持ち上げて
落とすマスコミのやり方とはいえ、もともと一般の主婦に対するバッシングに
してはあまりにひどいものがあったように思います。

もしやHePoさんは、ライブで宜保さんを知らない世代ですか?

ウォーリック | URL | 2013/10/30/Wed 00:17 [編集]
記事を読ませていただいて、当時の楽しい気分と、微妙な気分がごちゃ混ぜになって甦りました。
TVや本を見てるだけでは、あそこまで叩かれてた理由が全然分からなくて、戸惑った覚えがあります。
宜保さんはあの頃の霊能者の中では宗教色が薄くて、気さくなキャラで好感度高かったのに…。
serpent sea | URL | 2013/10/30/Wed 00:55 [編集]
Re: タイトルなし
serpent sea様:いつもコメントありがとうございます!

>>あそこまで叩かれてた理由が全然分からなくて

業界に影響力のある宗教団体を批判したせいや、韓国系のバックに干された等
色々な都市伝説がありますが、何が本当なのか分かりません。おっしゃる通り確かに
宜保さんは、ユリゲラー、織田無道、深見東洲、江原啓之といった面々とは一味違った
位置にいたと思うのですが残念で仕方ありません。
ウォーリック | URL | 2013/10/30/Wed 01:10 [編集]
はじめましてv-22
おはようございます。

ゴールデンウィークに、御茶ノ水で下車して、古本屋のあるあたりを歩きました。
楽器店があったり、画廊喫茶があったり。
あのあたりの雰囲気って、好きですv-352
結依 | URL | 2013/10/30/Wed 08:30 [編集]
いつも楽しく読ませて頂いております。
独自の毒舌論評が面白いです。
宜保愛子さん、懐かしいですネ。
昔テレビでまだ逸見正孝氏が生きていたころに、
「消化器系の病気に注意して下さい」と
言っておられましたが、周知の通り
残念な結果になってしまいました。

霊能者と言うものは、色々バッシングを受けるのは世の常なんですネ。
モンタピ | URL | 2013/10/30/Wed 14:08 [編集]
Re: タイトルなし
結依様:コメントありがとうございます!

神社から洋風建築まで和洋折衷、古くからの学生街で街に活気がありますね。
秋はお散歩に素敵なエリアです。
こちらのブログにも是非また遊びにいらして下さい!
ウォーリック | URL | 2013/10/30/Wed 22:37 [編集]
Re: タイトルなし
モンタピ様:コメントありがとうございます!

> 霊能者と言うものは、色々バッシングを受けるのは世の常なんですネ。

まったくおっしゃる通りです。きっとどちらに転んでも胡散臭いものになるの
でしょうね...是非また遊びにいらして下さい!
ウォーリック | URL | 2013/10/30/Wed 22:39 [編集]
「見えないから信じられない」って言う人もいますよね。
でも、見えないし触れられけど確かに存在するものだ
ってあります。

思いや愛情なんかもそうで。

感情は科学者からすると脳が発信する電気信号でど
うのこうのってところかもしれませんが、それとはまた別の
話ですしね。

宜保さん、きっとあの世で「ほらー、だから言ったじゃない
のー」何て言ってそうですね。
藍音ななを | URL | 2013/11/04/Mon 14:04 [編集]
> 今頃二人は霊界で何をしているのだろう。

やっぱり、「オバケって、やっぱりいなかったんだねー」って話してるんじゃないですかね(?)

その「お昼のワイドショー」については、友人の家の近所にその番組のディレクターだかをやってた人の家があって。
その人に友人が聞いたところ、「あれは全部作り話だよー」って言ってたとか(笑)

> 本物の霊能者か、はたまた詐欺師か。

たぶん、本当に見えてはいたんじゃないですかねー。
ただまぁそれが「霊」と言われる死者の魂だったか、その人だけに脳に映るモノだったか、はたまた幻や思い込みだったかはともかく(笑)

個人的には怪談話は大好きなんですけど、でもあんな風に「そこにいる」とか言われちゃうとしらけちゃう気がするんですよねー(いや、番組は楽しんで見てましたけどねwww)。
やっぱりオバケっていうのは、いるかいないかわからないからこそ、怖くて面白いのかなーってそんな気がします(笑)
ひゃく | URL | 2013/11/04/Mon 16:38 [編集]
Re: タイトルなし
藍音ななを様:コメントありがとうございます!

人は死後その体重が数十グラム減ると言います。これが魂の重さではないか
と言われていますが、グラム数の統計を出すのがきっと科学なのでしょう
ね。この数十グラムがなくなると、なぜそれまで普通に感情を持ち、人と話し、
生きていた人間が動かなくなってしまうかという理由は分からない。

これが今の科学の限界だと知れば、普通に謙虚になることができると
思うのですが...なかなか難しいですね。

またいらして下さいね!
ウォーリック | URL | 2013/11/04/Mon 19:39 [編集]
Re: タイトルなし
ひゃく様:コメントありがとうございます!

>>「あれは全部作り話だよー」

最近もほこ×たてでヤラセがありましたが、演出や仕込みとヤラセの境界の
線引きは難しいですね。こういうのがバレ始めたのが、テレビ離れの
原因かとも思います。動画などもインターネットの後追いになって
しまっていますね→テレビ。
ウォーリック | URL | 2013/11/04/Mon 20:27 [編集]
腹痛いです。wwww
こん | URL | 2015/04/05/Sun 21:13 [編集]
Re: タイトルなし
こん様

コメントありがとうございます!
もう一年半も前の記事にようこそお越しくださいました。こんさんも
宜保さんのファンですか?

一体どこをどうやってこの記事にたどり着かれるものか、今も微妙に拍手が
増えていてコワイですw

これに懲りずに是非また遊びにいらして下さいね!
ウォーリック | URL | 2015/04/06/Mon 00:02 [編集]
トラックバック
トラックバック URL

Copyright © 阿鼻叫喚 (あびきょうかん). all rights reserved.
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。