猫と海辺に暮らす翻訳コーディネーターの阿鼻叫喚な日々を綴る日記。

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おがまれる
私は、街を歩いていてよく人に声をかけられる。

勿論、タレントやモデルスカウトのようなハイソなお誘いや、フェロモンウッフンな
風俗のキャッチなどではない。残念ながら、もっぱらあの世へのお誘いである。
脳内のお花畑がダダ漏れているためか、私に対する宗教勧誘のハードルが低すぎて
困ってしまう。

その昔、テレビで某教団の女性幹部を見た時、その地味さ加減に驚いた。選挙活動で
ゾウさんの着ぐるみと踊っていた彼女らの目は、とうの昔に逝ってしまっている。
髪はボーボー、眉毛ナシ、お肌荒れ荒れ、目の周りに青タン、すっぴんに白装束を
まとった年齢性別不詳びとの舞に度肝をぬかれたものだった。

他にも、宇宙から電磁波攻撃を受けている教団や、定説おやじにシャクティーパット
されていた女性達も同様のたたずまい。皆一様に没個性でありながら、その共通項として
瞳の奥に言い知れぬ狂気を秘めていた。

宗教にはまる女たちが放つ独特のオーラ。もしや私は、世間的にああいうイメージを
放っているのかしらと思うと切ない。

 「有名な航空機事故を知っていますか」

突然街角で何よと思いつつ、無視ができない私の性。つい興味本位で話を聞いて
しまう。振り向けば、大きなカバンをたすき掛けにして紙袋をもった男性が
立っている。羨ましいほどに痩せた体は断面図で10センチほどの薄さ。アマゾンの
インディオ風なヘアースタイルが印象的だった。まさにカブトムシの幼虫とか食べて
いそうな雰囲気。

この彼が言うには、大惨事の墜落事故で命をとりとめた数名が、彼のお祈りを受けて
いたとのこと。凄い威力だ。他力本願に生きる私は現世利益が大好き。しかもお祈りと
言えば就活の「お祈りメール」ぐらいしか経験がない。これは是非おがんでもらおう。

 「すみません、ちょっと恥ずかしいのであの陰でお願いします」

おずおずとインディオと共に路地に入る私は我ながら怪しい。そしてお祈りが始まり、
私の汚れた血を浄化してもらう。そして何も変わらない。

 「これで大丈夫!これからありがたいお話を少し...」

ありがたいのは結構です、というが早いか、人ごみの中を走り抜ける。初対面の
人間捕まえて血が汚れているとか大きなお世話。

またある時は、オレンジの袈裟をまとい、歌って踊れる宗教集団に巻き込まれる。
これは勧誘でも何でもなく、ただ巻き込まれたのだ。

その日、たまたま新宿の紀伊国屋前を横切ろうとしていた私。太鼓の音に
振り向くと、すでにそこには踊り狂うスキンヘッドの男たちが。行進する集団の
中に紛れ込んだ私は、何とかこの踊りの渦から出ようともがく。そして、悪代官
に帯を解かれるイモ娘のように回りながら、太鼓につまづいて転がる私。

道に倒れて涙目で遠くを見つめる私の目に、他人のフリをしながら写メをとる
友人のうすら笑いがかすむ。

この他にも、ひと手間かけた占いで勧誘されたことがある。

その日、友人との食事を終えて駅に向かう私の目に「占い」の文字が飛び込んだ。
最近自分に降りかかったトラブルが走馬灯のように心をよぎる。ちょっと占って
もらおうかな、という軽い気持ちで占いのおじさんに声をかけた。

 「見料はいくらですか」

ボッタクリはいやなのでまず確認。一律3,000円なら相場だ、と思い早速
手の平を差し出した。するとおじさんが開口一番、

 「えーっ、あなたの人生はめちゃめちゃですよっ!」

天からシャキーンと落ちてきた20メートルの大刀が、目の前の大地にまっすぐ
突き刺さり、にわかにかき曇った空からその刀めがけて稲妻の閃光が走る。
天地創造のような地響きとともに私の心は揺れた。

 「今、いろいろお悩みですな、人生の岐路にお立ちのようだ」

いろいろお悩みで人生の岐路に立った人が占ってもらいにくるのだ、普通。
ただ、この時は普段の冷静さをすっかり失ってしまっていた。

 「どうすれば、いいんですか」

すがるような小声でおずおずとつぶやく私。するとこの「みのもんた」風味の
占い師が身を乗り出してきた。「あのですね」と小声でもったいぶったように
ささやく。その口からはかつて嗅いだことのない強烈な腐敗臭を発射。

どうやら私には、生霊、地縛霊、ご近所の浮遊霊その他もろもろのよくない霊が
山盛りに乗り移っているとのこと。あまりの量に、すぐにでも除霊しなければ
危ないですよ、と慌てた様子。手相って乗り移った霊の種類がわかるのね。

勿論、そんなにたかっているのは嫌だ。すぐにでも祓っていただかないと。
みのもんたが言うには、これだけの大集団になると彼の力では太刀打ちできま
せん、と絶望的な一撃。「あなた、よくここまで生きてこれましたね」などと
変な褒め方をされる。

これだけの魑魅魍魎をつけていても普通に生きて来られたのは、何を隠そう
私に化け物以上の力があるからとのこと(ちょっと...)。何はともあれ、
その大先生を訪ねるようにと連絡先を渡された。

その夜は家に戻っても恐ろしくて眠れない。昨日までは同じ部屋にいても
何もなかったものを、その晩は、自分に乗り移っている仲間たちとの添い寝が
いやで一晩中おきていた。

次の朝一番でこの大先生のところに行くと、白装束のハンプティーダンプティー
が出てきた。見るからにうさん臭い。

 「おおっ」

私を見るなり、のけぞる彼。こいつはアカンやつや、と、すかさず私を続きの
間に案内する大先生。

ザンバラの落ち武者髪、しかし毛先はきれいに切りそろえられた斬新なヘア
スタイル。充血した目、イボイボとシミで荒れたお肌に、抜け落ちた前歯の
数々。こうした傷は、過去に戦ってきた幾多の怨霊たちにやられたのかしら、
と、これまでの彼の苦闘を思いやる。ただ、ここまでビジュアル的に神聖味に
かけるエクソシスト(祈祷師)は説得力にかけてよ、と思ったりする。

それでは、と、後ろ手に襖をあけるや祝詞を始める。突然始まる祝詞は
妙に耳に残るリズムで心地よい。大昔のコメディアン、トニー谷がソロバンを
振り回して歌う「あなたのお名前なんてぇの」みたいな響き。

この祝詞を聞きながら、ああ、また騙されたのねと心がつぶやく。
きっとこの後お金をとられるのだわと思いながら、どんどん冷静さを取り戻す
自分がいた。もしかしたら祝詞が効いて、この瞬間に地縛霊たちがとれたの
かも知れない。

目に見えない世界に畏怖の念をもつことにやぶさかではない。
たとえ途上国で子供が飢え、神の名の下にテロリストが殺人を犯す世界に
あっても、きっとどこかに神様はいるのだと信じたい私。

ただ、お金もうけやイデオロギー、政治や占いの利用など、人の心の弱みに
付けこむ人たちの心に神様が宿ることは、絶対にないと思う。

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おはようございます。
ネリムです。

宗教をやっている人は
普通の人とは違うんだなと思いました。

神様はいると
私は信じたいです
ネリム | URL | 2013/08/10/Sat 08:05 [編集]
フムム・・・
またまたウォーリックさんの新たなる一面を拝見したようです。
(まだ新しい読者なので・・)
占いの類は、街角情報誌などに載ってるものを
おちゃらけクイズ程度に見るぐらいしかしない私からは、
占いや歌って踊れる教団に巻き込まれるウォーリックさんが
あの、英国留学の際、並み居る宿敵、じゃない、論敵を
次々と論破するウォーリックさんんと同一人物だなんて・・思えないのです。

街角に流布する占いって、誰にでも何かしら当てはまるようなことを
勿体つけてのたもうてるだけにしか思えませんし、
「何とかの予言」とやら称するものも、たいそうな予言をする割に
大山鳴動、ネズミさえ出てこないのがオチですから。
(信じておられる方、ごめんなさい)
最後の5行が本当のウォーリックさんですよね。
一本の葦 | URL | 2013/08/10/Sat 09:31 [編集]
Re: タイトルなし
ネリム様:いつもコメントありがとうございます!

神様はきっとどこかにいますよね!
ウォーリック | URL | 2013/08/10/Sat 16:26 [編集]
Re: フムム・・・
一本の葦様:いつもコメントありがとうございます!

すみません、占い好きです~w
自分でのめり込んでいくかどうかは別にしても、
新しいこと、知りたいことにいつも心が開きっぱなしになっています。
結果、失敗の連続でまさにブログタイトルの阿鼻叫喚な人生になって
しまうのですが...それでもウィリアムの子供が蟹座かしし座かと
ブックメーカーで賭けたりするイギリス人の洒落が好きです。

その都度、痛い思いをして高い勉強代を払うので、いい加減学んだ方が
いいとは思い始めていますw
ウォーリック | URL | 2013/08/10/Sat 16:37 [編集]
納得!
おはようございます。 

  >新しいこと、知りたいことにいつも心が開きっぱなしになっています。

ウンウン、よく分かりました。
知的好奇心の塊のような、あるいは、心の奥に夢見る少女の面影を
残しているような、そんなウォーリックさんなんですね^^
占いがお好きというのも、考えてみれば将来への期待や希望、
自分の可能性を追及したいというポジティブな考え方から
くるものなのでしょうね。
とまぁ、こんなことを書きつつも盲目の人が象を撫でているような気持ちですが。
私が触っているのはきっと尻尾ぐらいでしょうね(笑)
一本の葦 | URL | 2013/08/11/Sun 09:21 [編集]
Re: 納得!
一本の葦様:いつもコメントありがとうございます!

大きな心でご理解いただきましてありがとうございます。

実年齢と中身が伴わないと傍目から見ても痛い感じになりますので、
世間並みの分別をつけたいとは思っているのですが。

今後ももしかしたら爆弾がさく裂するかも知れませんので、その節は
どうぞお手柔らかにw

ウォーリック | URL | 2013/08/12/Mon 22:28 [編集]
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