猫と海辺に暮らす翻訳コーディネーターの阿鼻叫喚な日々を綴る日記。

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証拠
またブログが放置プレイになってしまった。

前回の記事にはもの凄い数のコメントと拍手コメをいただき本当に驚いた。
実際、あの記事をアップする時点でかなり迷ったのは事実。このブログを始める時に
自分の中で決めたルールとして、宗教、政治、人種人権ネタは避けようと心に決めて
いたのだもの。

これは外国人と付き合う時と同じルール。他の人のブログに書かれているのを読む
のは楽しいけど、注意散漫な自分が書くときは避けようと思っている話題がこの
トピックスだった。

個人のブログとはいえ、必ずしも私と同じ意見をもつ人ばかりではないし、不用意な
言葉で誰かを傷つけてしまうのも困る。公開して不特定多数の目に触れる限り本当に
気をつけたいと思っていた。でも今回は、何が何だか分からないうちに色々なことが
偏向報道されている気がして、ついアップしてしまったw

きっと 「何アホな事書いているんだ、こいつは」 ぐらいに思われた方もいらっしゃる
と思いますが、何卒ご了承下さいませ。猪瀬さんは筋書通り辞職され、マスコミの
方々もさぞや溜飲が下がったことと思います。果たして次のターゲットは誰になる
ことやら。

と、いうことで私のブログは、通常運転に戻ります。
今回はくれぐれも閲覧注意です。


いよいよ2013年も大詰めを迎え、激動の一年を振り返る私。そして年末の頭痛の種と
言えば大掃除だ。これは重労働で、決して1日2日で終わらないのが例年の常。そこで
今年は少しずつ前倒しで進めようと心に決めた。1階リビングの拭き掃除が終わり、
さて今度は和室、と腰を上げた瞬間、私の後ろでピカピカにしたフローリングにピッチ
がゲロを発射。そのまま一目散に逃げながら、途中、観葉植物の鉢をなぎ倒し、一面に
広がる腐葉土の波。こうして猫のお手伝いと共に、毎年恒例の水前寺清子 「三百
六十五歩のマーチ」 が始まる。そう、何日経っても前に進まないアレだ。

どっと疲れて逃避に走った私は、先にデータの整理をしようかなと思って携帯の
フォルダを開いた。すると出るわ出るわ、撮りっぱなしのイミフな画像の数々。いや、
私には1枚1枚にそれは深い思い入れがあるのだけど、他の人から見たら一体
なんのことやらという写真たち。

これは私が出会った事件の証拠物件なのだ。

このブログを読んでいただいている皆様であれば、私の周囲が常に恐怖に包まれて
いることをご理解いただけると思う。私はこうした不可解な出来事を会社の同僚や
友人達に話すのだけど、誰一人として信じてくれない。

これはひとえに私の信用のなさなのだけどw あまりに話の内容が突飛なため、にわか
には信じられないと言う。そんなケースが続いて悲しい気持ちになったので、何かが
起こったときは証拠の写メを撮ることに決めた。勿論、人様に向けてパチリはないので、
周辺の物証をカシャカシャ撮りためては、友人達に実況をつけらながら見せている。

そんな中から今日は3点ほどご紹介。

いつも通りの電車に乗った私は、車両と車両の継ぎ目にある3人掛けの席で居眠りを
していた。珍しく空いている車内は静かで、一席あけて隣には疲れたサラリーマンが
爆睡していた。途中目が覚めた私は、反対側の連結部のドアをあけて一人の女性が
歩いてくるを発見。すると私のセンサーが目を覚ませと叫んでいる。そう、なにか
怪しいのだ。

真っ黒な長髪はストレートな武田鉄矢。目の下にくっきりと描かれたクマ?メイク。
しかし眉毛はない。おそらく20代と思われる地味な女性の実年齢は不詳。実は50upかも
知れない。昭和の臭いがする水玉のワンピースに、きょうび見かけない白のエナメル
スリッポンを履いている。サイズが合わないのか、歩く度に規則正しく飛び出す
ガフガフ音がしょっぱい。顔は全体的に漫画家の蛭子 (えびす) さん風味だ。そんな
彼女が、大きな紙袋を肩に掛けてこちらに向かって来る。その袋の底には穴があいていて、
ゴンと音をたててトマトが飛び出した。それに気づいたOLさんがひび割れたトマトを拾い
上げて蛭子女に届けてあげる。

 「あの、これ落ちましたよ」

するとOLさんに向かってきっぱりと言い放つ蛭子女。

 「ちょっとおねーちゃん、ウンコ臭いよっ」

電波系だわ....その瞬間、熟睡する私。こっちに来るなと心の底から祈りつつ、薄目を
あけて事の成り行きを見守った。その後も定間隔でトマトが落ちるのだけど、皆、怖れを
なして拾えない。下手に親切心を起こそうものなら、衆人環視の中、無慈悲なウンコ臭い
攻撃をくらってしまう。電車の動きに合わせてゴロゴロと転がるトマトたち。いよいよ
私の好きな阿鼻叫喚になってきた。次の駅の乗客の反応が楽しみで仕方ない私。すると
車両の真ん中まで来た蛭子女がオバサンの前で立ち止まり、きっぱりとした滑舌で叫ぶ。

 「おばちゃんもウンコ臭いよっ」

蛭子女は歯茎全開。300年の歴史をもつお寺の国宝として珍重される掛け軸に描かれた
幽霊の歯茎か、はたまた歌丸師匠の歯茎。OLさんのように、このおばちゃんも打ちのめ
されるのだろうか。皆が息をひそめて見守る中、おばちゃんが電波女に向かって一言、

 「アラ、そうなのぉ」

これが年輪というものだ。子供を産んだ女はちょっとやそっとでなぎ倒されたりはしない。
あまりにのれんに腕押しで、そのままそそくさと立ち去る蛭子女。そして着実に私に近づいて来る。
目を固く閉じて歯を食いしばる私。すると足音は同じ並びの爆睡サラリーマンの前で止まった。
薄目を開けて恐る恐る見あげると、消火器が置かれたスペースの上にある幅5センチほどの
棚に蛭子女が袋を置いた。よっこいしょ、とか言っている。そしてゆっくりと車両の間のドアを
見つめ、ガラスに向かって話し始めた。

 「私が今、心の中で思っていることを誰かに聞かれたらどうしよぅ」

斬新な発想だった。ここから彼女の 「心の声」 が逐一つぶやかれていく。

 「恥ずかしいけど大丈夫。誰も私の心の中を見ることなんてできないのよぅ」
 「今日買った42個のトマトで佃煮を作って輪にするのよぅ (?) 」
 「カズキさんはコウモリね (?) ふふふ」

そう言ってこちらを振り向いた瞬間、あの穴からまたトマトが飛び出した。ドビュッという
鈍い音を立てて破裂する完熟トマト。その中から大量の汁が発射されると、爆睡サラリー
マンの薄いグレーのスーツ一面に飛び散った。

まるで血のようににじんだトマト汁。さすがにこれには蛭子女もビビった様子で、袋を肩に
かけるや、穴からゴンゴンとトマトを放ちながら次の車両に逃げていった。

蛭子女が閉めたビシャンというドアの音で目を覚ましたサラリーマンは、自らのスーツに
飛び散った血痕に怖れおののき茫然としている。電車が停車するやいなや、 「パネーっ」
と叫びながら下りて行った。その後に残されたトマトがこれ↓

tomato_convert_20131223235924.jpg



次は海辺でのお話。
友人達と季節外れの九十九里浜にドライブをした時の事。秋の浜辺にいたのは一組の家族連れ
だけだった。若い夫婦と幼い二人の兄弟。お兄ちゃんは5才、弟は3才くらいの活発な兄弟だ。
弟はコンブの束を振り回しながら、無言でお兄ちゃんの作った砂山を破壊している。

微笑ましい砂山の光景に、先日公園のお砂場で遭遇した兄弟を思い出す私。カラフルな
おもちゃのバケツと熊手をもった幼い兄弟は、公園に着くとさっそくお砂場に飛び込んで熊手
で砂を掻き始めた。すると出るわ出るわ、猫の大便がゴロゴロと発掘されている。

弟君はそれを一つずついとおし気に拾うと、お兄ちゃんのバケツに放り込んでいた。私は急いで
母親の姿を探したものの発見することができず、恐ろしくなってそそくさとその場を後にした。
どうしていいか分からなかったのよ、実際。

今、目の前で砂遊びに興じる兄弟。この大自然の中なら、よもや猫のウンコが仕込まれている
などとうこともないだろう。安心した私は、友人達とその場を去ろうとした。するとお兄ちゃん
の方が突然、崩れた砂山のふもとを掘り始め、何やら発掘したものをバケツに集め始めた。
それを見ていた弟君も必死にお兄ちゃんを手伝っている。

 「たくさんあるね、風船♪」

えっ?と思う。九十九里の砂浜から大量の風船が出土している。私が中身を確認する前に、幼い
兄弟は大きなバケツを抱えて行ってしまった。

 「ママ~っ、きれいな風船がいっぱいでたよ」

そのバケツの中身を確認した母の悲鳴が、九十九里の浜辺にこだました。

一体、風船とは何なのだろうと、砂山のそばに駆け寄る私。そこで兄弟のバケツからこぼれ落ちた
風船を撮ったのがこれ↓

ichijiku_convert_20131224000021.jpg

ピンクのいちじく浣腸よ。
しかも使用済み ((;゚Д゚) (゚Å゚;) あの兄弟は使用済みの浣腸をこんもりとバケツに
盛って母に献上したのだ。これならまだ公園のお砂場の方がいいのかどうか。今となっては、
なぜこの 「風船」 が大量に埋蔵されていたのか誰も知るよしはない。


最後になぜ携帯のファルダに入っていたのか分からない画像を一つ。こちらは今をときめく
きゃりーぱみゅぱみゅの親友、げーはーこ様↓

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勝てる気がしない....


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私は乗らない
最近ぼんやりとテレビを見ていて思うこと。

人は嫉妬の生き物。持つものと持たざるものの世界。猿山の猿が自らの優位を
見せつけるためのマウンティングと何ら変わりのない、薄っぺらな嫉妬と顕示欲の
繰り返し。社会的地位や経済力、そして広範な人脈をもつ公人を引きずり下ろさず
にはいられない動物なのだとつくづく思う。億単位の収入を稼ぎ出し、名声を得、
人生を謳歌する人間が妬ましくて妬ましくて仕方ないのだ。

そんな嫉妬を表立って行使はできないからこそ、 「持ち上げて落とす」 ジャーナリズム
が名目になり、社会正義の名のもとに何をやってもいい大義名分が立つ。

連日報道されている猪瀬都知事の件は、いまだグレーゾーンの話。言ってしまえば、
彼がテレビの前で記者会見する必要はないのだ。ほんの数週間前まで東京オリンピック
招致の立役者として 「持ち上げられた」 ヒーローは、今やグレーな嫌疑で犯罪者扱い。
全国放送で公共の電波を使い、一個人が糾弾されている。

麻布にプール付きの家があり、5000万円のキャッシュを電話一つで動かし、都知事の
ステータスとオリンピックの招致ヒーロー。しかも本職の文筆業で印税が入る公人で
あれば、個人攻撃で吊し上げてもいいという理屈。果てはプチ整形している、眉毛の
書き方がおかしい、そもそも都知事としての器に欠ける傍若無人な人あしらいで人望が
なかったなど、本来グレーの嫌疑以外での人格否定が日本のマスコミのお仕事。

テレビ中継の会見で質問をする自称 「ジャーナリスト」 は、本人も公人として顔をさらし、
姓名と所属機関を名乗って初めて同じ土俵に立つのだ。人を糾弾するのであれば、自らも
正々堂々 「ジャーナリスト」 として相応の覚悟と責任を持たなければフェアではない。
顔が出ないことをいいことに、社会正義の名のもと、国民の 「知る」 権利代表を勝手に
自認しての下世話な個人攻撃が続く。常に上から目線の弾劾がプロとしての仕事と勘違い。
誰もそんなことは頼んでいないのだよ。

私は別に猪瀬都知事の肩を持っている訳ではない。もし怪しいのなら東京都民が訴訟を
起こすべき。今、公共の電波で繰り広げられている自称ジャーナリズムの名を借りた
いじめは、是非裁判で白黒つけてもらいたい。本来、税金を支払っている東京都民が
考えるべき問題なのだ。それでなくともTPP、消費税を含め他にも報道してもらわな
ければならないことが山積している。

居並ぶコメンテーターと呼ばれる自称文化人の論調もすべて一色。一個人を精神的に
追い詰めて、もし本人が自殺をしたとしても、多勢の中の一人であれば何ら道義的に
責を問われる訳もなく、ここぞとばかりに 「眉の形」 をあざ笑う。品性下劣極まりない。

ターゲットも千変万化。つい最近まではみのもんたが対象だった。同じく鎌倉に大豪邸を
もつ実業家。高視聴率をたたき出すレギュラーがなくとも、自前の会社で十分な経済力を
もつ人物だ。あれだけ色々なことが取り沙汰されても、結局道義的責任がありそうなものは
本人のセクハラ疑惑ぐらい。別にここでも彼の肩をもつ訳ではないが、終わってしまえば
全てがグレーなまま、何が何だか分からぬうちにテレビ業界から姿を消していった。

その前は橋下大阪府知事か。彼についてもその出自を暴き立てるなど、個人攻撃も
ここまでくれば立派な犯罪。全て公人がゆえの有名税として、最初に書きたてた者勝ち
のジャーナリズムという暴力だ。

これまで何度も繰り返されてきた愚行がこれからも繰り返されていく。妬ましくて
妬ましくて仕方ない、顔を持たない引きずりおろし。幼稚園から続く日本社会のいじめの
縮図が、ここにも形を変えて表出している。

特定秘密保護法案の報道も然り。

いつの間にか 「国民の知る権利」 に論点がすり替えられ、反対賛同者に訳の分からない
女優の名前が使われている。まず政権が支持率低下を覚悟してでも、拙速に法案を通さな
ければならない理由が背後にあるとは考えられないのだろうか。実際、軍事、外交を
めぐって切迫した理由があるのだ。政治家にとって生命線である支持率に替えてでも、今、
この法整備を急がなければならない逼迫した 「何か」 。そもそも対象になる軍事、外交
自体秘匿性が高く、一般市民が知る権利を行使できないエリアだ。他の国の例でも数年
から数十年経ってやっと開示されれば良しとすべき、国家機密の根幹をなす重要な事案で
ある。

エセ文化人や女優風情が名を連ねてどうにかなるものではない。フィクションを
フィクションとして楽しむという暗黙の了解に基づく芸能世界の自由が、一体この法案で
何の制約を受けるというのだろう。むしろこれまでなかった事が異常な、国家に不可欠
な法案だ。そんなことだから某首相経験者が現政権の意向を無視して敵対国に渡り
利用されたりする。少なくとも為政者として一度は国の中枢にいた人間がもつ情報力
たるや計り知れない。それが国益を一切無視したところで政治利用され、漏えいして
いたりしたら背筋が凍る思いだ。そしてそれを裁くことさえできない現状。これだから
にわか議員が勝手に北朝鮮に行ったりとやりたい放題の野放し外交が続くのだ。

一体どこの誰が何の目的で 「国民の8割が反対している」 などと世論操作をしているの
だろう。



今日もテレビは猪瀬問題。そして誰一人 「何かおかしいですよ」 と言わない、言えない
空気が紡ぎだされている。

正義に名を借りた低俗な茶番劇に、私は乗らない。



新宿二丁目探検
会社からの帰り道、駅前で誰かが叫んでいる。泥酔したサラリーマンを取り囲んだ
警察官が、今日も酔っ払いのヨタ話に付き合わされていた。年末恒例の年中行事とはいえ、
警察官の方々にはつくづく頭が下がる。酒にのまれて人に迷惑をかける人間には宴会に出る
資格などないのだ、とブリブリする。そんな警官の横を通り過ぎながら、生涯最初で最後の
職務質問を思い出し、思わず顔が爆発しそうになった。

学生時代、私は大学のすぐ裏手に住んでいた。そんな私は、同じく大学そばに住む
クラスメート3人と夜な夜な集まっては、夜の東京を徘徊するのが楽しくて仕方なかった。
それはイケイケで六本木に繰り出すというハイソなものではなく (そういうこともたまには
あったけど)、もっと泥臭い探検隊。ママチャリ数台で連帯を組んでは、都内の心霊スポットや
未体験ゾーンを走りまくるというわけの分からないチームだった。

その夜も森君から電話が入る。

 「今晩行く?」

行く先は集まってから決める。大学そばの穴八幡神社下に集まるや、高田馬場方面に
向かって坂道をこぎ始める。明治通りにぶつかると、森君が左に曲がった。

 「今日は新宿二丁目に行こうぜ!」

キャーッ、胸がワクワクする!噂に聞くゲイキャピタル、新宿二丁目!日本のゲイのメッカ
としてつとに有名な彼の地に今夜とうとう足を踏み入れるのだ。一体どんなところなのだろうと
思わずペダルを漕ぐ足にも力が入る。

途中ファミレスに入り作戦会議を開く。すると向こうの席にどうやら組合系の二人組が陣取って
おしゃべりをしていた。まだ二丁目は遠いのに、はた目にも明らかにそちらの人と分かる男性
カップル。ガッツリメイクのスーザン・ボイルと芦屋雁之助はんのような二人が、なにやら
ロックの話をしていた。薄く聞き耳を立てる私。

 「そうよね、今度の曲はもの凄い "売り線" の曲だしぃ」
 「それを言うなら "売れ線" でしょ!なによウリセンって」

そういうと周囲をはばかることなく大爆笑。雁之助はんがウリセンっ!と連呼しながら
ゴンゴン床を蹴っている。怪訝な顔をしながら森君に尋ねる私。

 「ねぇ、ウリセンってなあに?」
 「男が男に体を売るところ」

と、そう言うや顔色一つ変えずに他の二人とパフェを食べ続ける。そういえば江戸時代の
陰間茶屋では、歌舞伎役者が男を相手にしていたのだわと考えれば、さして驚くことでも
ないのねと思う。

エネルギー充電が完了した一行は、また自転車に乗って明治通りを進む。花園神社を
越えて靖国通りに差し掛かると森君が叫んだ。

 「そろそろだよ、ここをまっすぐ!」

胸が高鳴った私は先頭に立ってスピードを上げた。ふと気がつくと後ろの3人が見えない。
真夜中のネオン街に取り残された私は不安になり、来た道を引き返す。すると路地裏に
たたずむ3人に向かって、アジア系のおねえさんたちが声をかけていた。

 「シャチョウ、イッパツ、イチマンエン」

ジャパネットたかたの社長っぽい声とアクセントに倒れそうになる私。たった3単語で
商売が成り立つ男女の性に万国共通の普遍性をみた。すると向こうから同じく自転車に
乗ったお巡りさんがやってくる。それに気づいた3人は蜘蛛の子を散らすようにズラかり、
私だけが取り残された。暗闇にたたずむアジアのおねえさんたちと私。一度は通り過ぎた
お巡りさんが引き返して私に声をかけた。

 「あなた、ここで何やってんの?」

確かに怪しい。夜の3時にジーパンにキャップをかぶった学生が、アジアのおねえさん
のそばに自転車を止めている。この状況で、これから新宿二丁目にオカマを見に行くとも
言えず、しかも連れの奴らはどこかに行ってしまった。これまで経験したことのない汗を
かきながらキョドる私に向かって、身分証明書の提示を求めるお巡りさん。その背後、遥か
彼方では、難を逃れた3人組が涙目の私をあざ笑っているのが見えた。お巡りさんは、私より
アジアのおねえさんたちに気をとられているようで、この夜は軽い注意で解放してくれた。

何事もなかったかのように合流する3人に向かい 「あんたたちがアジアの誘惑に負けたこと、
明日クラスの女子全員にぶちまける!」 と復讐を誓い、再び二丁目を目指した。

墓地の角を抜けると小さな公園が見えてきた。

あ や し い

森君が 「ちょっとトイレ行くから待ってて」 と言って、公園の公衆トイレに入って
いった。よく公衆便所などに入るわね、と独り言を言う。きっと個室の中は天井と言わず
壁と言わず、四方八方に吹き散らされた汚物で阿鼻叫喚に違いないのだ。しかも二丁目の
ど真ん中。

森君を待ちながら他の二人と辺りを見回していると、暗闇の中にベンチが点在している。
そのベンチには少しずつ間をあけて男たちが座っていた。自転車に疲れた私は、空いて
いたベンチの端に腰かける。直視しないように気をつけながら、横目でジロリンと
隣の男の子を見た私は、一瞬にして全身から血の気が引いた。

恐らくまだ十代とおぼしき少年の顔は、まるで映画 「呪怨」 の男の子みたいに
白塗りで、目の周りが黒くふちどられていた。一体どういうコンセプトのメークよ。夜中の
3時にこの顔で公園に座って、一体誰が釣れると思っているのかしら。いやもしかしたら
ここに来る人を笑かそうとしているのかも知れない、などと思いをめぐらす。

しかも小さな声で瀬川英子の 「命くれない」 とか唄っている。怖いのよ、あんた。

いたたまれなくなった私がベンチを立つと、足元に雑誌が落ちているのをハケーン。
カピカピにくっついたページをはがしながら、電灯の下で中身を見始めた。タイトル
は 「サムソン」 。何だか韓国の家電メーカーみたいだわ、などと言いながらページを
めくると、そこにはこれまで見たことのない異次元空間が広がっていた。

スケスケのふんどし姿のメタボなおじさんが絡まって口づけを交わしている。その
太った手足はまるで甲羅から生え出したすっぽんのよう。右手にはバイブ、左手には
豊丸のすけべ椅子?をもち、太字タイトルには 「幻惑、デブセンの罠」 と書かれて
いた。みんなに見せようと走りながら、 「見て見てデブセンっ」 と叫ぶ私に、周囲から
もの凄く冷たい視線が注がれる。ここでは自分が招かれざる客であることを忘れていた
私は、我に返って本をもとに戻すと静かに公園を後にした。

そこに森君が興奮気味に戻ってきた。何でも、個室に入るやいなや 「入るわよ」 と
言って、外からカギをガチャガチャされたとか、隣の個室から断末魔の叫び声が聞こ
えたと一挙にしゃべりまくる。かなり怖い目に遭ったらしい。

仲通りと呼ばれるメインストリートでは、浅草サンバカーニバルのようにほとんど裸
のニューハーフが闊歩する。その後ろからは、円盤戦争バンキッドのブキミ星人の
ような脳の形のヅラを搭載した振袖のおじさんが続く。雑誌のファッションモデルや
語学講座の外人インストラクター等、見覚えのある顔もチラホラ見かける。色々な国籍と、
バラエティーに富んだコスプレの男たちが通りに溢れ、みんなとても幸せそうに見える。
彼らにとって、ここは唯一気を許すことのできるパラダイスなのね。そんな人ごみの中
を自転車片手に切り手をしながら進んでいく。

お店の名前も凄まじい。何によらずゲイの人たちは本当に言葉のセンスがいいと思う。
特にネーミングのセンスは、AV業界の映画タイトルに勝るとも劣らない切れ味を
見せる。

最近のドラッグクイーンをざっと見ただけでも、剥栗 (むきぐり) サセコ、肉乃小路
(にくのこうじ)ニクヨ、オナン・スペルマーメイド、バビエノビッチ、ダイアナ・
エクストラバガンザなどなど、いずれも甲乙つけがたい秀作ばかりだわ。

一通り新宿二丁目を堪能した一行は、翌日の授業に間に合うべく新宿の街を後にした。
これ以降、二丁目界隈は私たち探検隊の重要な訪問地になった。その近場で見つけた
ベトナム料理やタイ料理のお店は、人間観察の重要な拠点になっていく。

もう戻ることのできないお祭り騒ぎの時代。忘れられない私の青春時代の思い出は、
時に切ない想いをともなって、今も心の片隅に息づいている。


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