猫と海辺に暮らす翻訳コーディネーターの阿鼻叫喚な日々を綴る日記。

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小さな出来事
何だか最近ブログが放置プレイになっている。

書きたいことはたくさんあるのに、イマイチ気分が盛り上がらないのは疲れているせい
かすら。ちょっと間があき過ぎなので、昨日の小さな出来事を一つ。

昨夜は取扱説明書を読みながらうたた寝などしてしまった。ふとジャパネットたかた
で目にした掃除機が気に入って購入。そもそも掃除機などコンセントをさせばそれまで
なのだけど、この取扱説明書のつまらないこと、つまらないこと....

リビングのテーブルに突っ伏して眠る私。遠い記憶の彼方で、テーブルの上に誰かが
飛び乗る音がする。

 「ん!?誰?」

夢ともうつつともつかぬ浅い眠りの中、その音は足早に近づいてきた。そして私の
耳元にたたずむや、

 「きゅぽん、きゅぽん、きゅぽん、ぎゅるるるるぅぎゃっ」

私の髪に発射された得体の知れない梨汁。あまりの悪臭に目を覚ますと、猫が
私の髪にゲロを吐いていた。寝ぼけながらもやっと現状を把握した私の目に、お好み
焼きのようになった取扱説明書が見える。

捨て猫だった子猫を拾ってもう10年、ピッチは我が家の猫の中でも一番の甘えん坊。
猫がもどすのは日常茶飯事で仕方のないこと。いつもなら何でもないこの行為が、
昨日は疲れていた私の逆鱗に触れた。

 「今日は帰ってから3回目だねぇ。さっきのクッションカバーも乾燥中なのに」

と、思わずイヤミを言ってしまう。すると私を見つめながら、何とも言えない悲しい
顔で目をシバシバさせている。この子には全世界で私だけが唯一無二の味方。
だからこそ私からの叱責にはめっぽう打たれ弱い猫であることを思い出し、はっと
我に返った。

10年前、家の前でご近所の猫嫌いのオバサンに虐待されていた子猫を、見るに
見かねて奪い取り、その日から家の子になった。そんなトラウマから、外が怖くて
仕方がないこの猫にとって、我が家の1階リビングと和室だけが彼女の安らげる世界。
この部屋にいられればそれで安心なの、といつも全身で語り掛けてくる。

具合が悪いから助けて欲しかったのね。

 「ごめんね、ピッチ」

テーブルの上を片付けていると、すごすごと自分の魚型ベッドに戻って丸くなった。
また汚れたクッションカバーを外して独り言を言いながらピッチを見ると、突然
はっ、と顔を上げてリビングの隅に猛ダッシュを始めた。

デデデデと高速で走り窓ガラスギリギリで止まるや、そこでまた大量の噴射。
さっき怒られたものだから、彼女なりに気を遣って、ちょっと遠くまで走ってみたのだ
と思う。ひとしきり終わると、こちらを振り向いてまた悲しい顔をした。

 「怒らないよ」

猫っ可愛がりぃ、と言いながら体中をゴシゴシすると、すぐに機嫌が直っていつもの
ピッチに戻る。そして、ちゃっかり横取りしていたミーちゃんに猫パンチを食らわして
早速ベッドから追い出していた。


自分で散らかす割には汚れた場所が嫌いな猫たち。気まぐれで自己中で、言うこと
なんてちっとも聞いてくれないけど、あなたたちが一緒にいてくれるだけで心が
とても温かくなるよ。いつの間にか掃除機の箱に収まって嬉しそうな猫たちに
話しかける。

これからもずぅっと一緒。そして、早く元気になってちょうだい。


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ドライブで会った人々
テレビでポール・マッカトニーの来日を知る。世界でも5本の指に入る有名人。
女性の手を引いて空港を歩く姿に、懐かしい記憶が蘇った。

それはイギリス留学時、試験前で押しつぶされそうになっていた私を、イギリス人の
友人たちがドライブに誘ってくれた時に起こった。

イギリス南部の避暑地ブライトンに向けて車はひた走る。初夏の南イングランドの
風に吹かれて車は走る、走る。イギリス南東部には有名な石灰岩の真っ白な崖が続く。
その海沿いをドーバー、フォークストンと下り、ライという街で休憩をとることにした。

パブのテラスでコーヒーを飲んでいると、十数人のかたまりが目の前を通り
過ぎていく。一体何の行進かと思っていると、イギリス人達が急にざわめいた。

 「あれ、ポール・マッカートニーだよ」

この手のジョークにいつも騙されていた私は、何事もなかったかのように、
ライの街を見ながらコーヒーを飲んでいる。するとパブの中からゾロゾロと人が
飛び出して来て、この集団と一緒に歩き始めた。もしやと思い最前列に回ると、
なんと本物のポールだった。

周囲にセキュリティーがついている訳でもなく、ごくごく地味な服装。女性の手を
とって黙々と街を練り歩いている。手にしたプラカードを見ると、どうやら乳癌の
チャリティーでこの町に来たらしい。身長こそあまり高くないものの、そのオーラ
たるやハンパない。外人特権を生かしてしっかり握手してもらった。

この日以来、外人とドライブをすると有名人に会うというジンクスができた私。
昨年の夏も外人と房総半島をドライブ中に、とある芸能人に遭遇した。

ドライブのメンバーは、以前、ブログ 「茂原の女子高生」 の時も運転をして
くれたフランス人、 ブログ 「ちんすこう」 でケツダイラマン (松平健) がエロい
と叫んだアメリカ人。それに 「富士登山」 で一緒に富士山に登ったオネエの
アメリカ人と私の計4名。その日、助手席に乗った私はナビ役を兼ね、一行は
一路南房総にあるローズマリー公園を目指した。

ローズマリー公園はシェイクスピアの生家を復元していて、一面にローズマリー
を植えたイギリス庭園と教会風の建物があり、日本にいながらにしてイギリスを
満喫できる素敵な場所。ここの雰囲気が好きな私は、ローズマリー石鹸を買いに
もう何度も訪れている。

するとおもむろに運転手のフランス人が日本語で話しかけてきた。

 「ねえねえ、今日は "はびことそだげうら" が多いね」
 「???」
 「"はびことそだげうら" が多いねっ!」

返事のない私に、半ばキレかかって念を押す彼。私はこのひらがなの固まりが
一体何を指し示すのか、皆目見当もつかなかった。すると後ろのオネエなアメリカ人
が声をかける。

 「きっとナンバープレートのことよ~ ♪」

何でオネエ言葉なのだ、この人は.....彼もまた、今日は "そだげうら" が多いと思った
けど、 "はびこ" はさすがのアタシにも何だか分からないわという。仲間の援護に気を
よくしたフランス人は、運転中にもかかわらず指を差し始めた。

 「そうそう、あれが "はびこ" 。こっちにも "そだげうら" がいる」
 「それって春日部 (かすかべ) と袖ヶ浦 (そでがうら) でしょ」

確かに日本語の地名は難しい。以前、このブログでも、日本人の同僚が結城 (ゆうき)
を "けつしろ" 、加須 (かぞ) を "かす" と読んでいたのはご紹介の通り。ただ不思議
なのは、少なくともアメリカ人には "はびことそだげうら" が2つの地名だと分かって
いた点。しかも2人とも、こぞって袖ヶ浦を "そだげうら" と読んでいた。

ふと気が付くと、すでに外人3人は最近自分たちがやらかした日本語の恥かしい
間違いの話題で盛り上がっていた。ケツダイラマンのアメリカ人が、僕は 「隣のトロロ」
というと、フランス人がトトロは意味なしだけど「トロロ」 はゲロの味がする日本料理の
名前で、食べると口の周りがかゆくなるんだよ、などと教えている。それを聞いたオネエな
アメリカ人は、友人の子供に赤ずきんちゃんを読んでいる時に、オオカミをオーカマと
読み間違えたと胸を張る。

 「お婆さんに化けたオカマが赤ずきんちゃんにガブリ」

狂ったように笑うオネエに、みんなでオカマはお前だ、などと言って笑っている。
何だか憎めない人達だ。

そんなこんなで車はようやくローズマリー公園に到着。暑さで今にも死にそうなガチョウ
がヒーヒー言いながら木陰に転がっている。見るに見かねたオネエなアメリカ人がエサを
買って袋を開けるやいなや、ガチョウたちの目がキラリンと光った。もの凄いスピードで
彼を押し倒すと、袋ごとくわえて嵐のように走り去って行く。芝生の上に横座りで
取り残されるオネエな外人は、まるでダチョウ倶楽部のギャグのようだ。

一行は涼を求めてシェークスピアハウスの横にある小さなカフェに入る。イギリス
のパブを模した喫茶コーナーではスイーツや冷たい飲み物が注文できた。木製の床から
は冷風が噴出してきてとても涼しい。

すると私たちのテーブルの横に2人の女性が入ってきた。暑さにやられた私がアイス
ティーに集中していると、フランス人が話かけてくる。

 「Regardez ça! (アレを見て!) 」

彼らは都合が悪くなると、突然フランス語になったり英語になったりする。ゆっくりと彼の
視線をたどると、椅子に座った体格のいい中年女性のスカートが、床からの冷風に
あおられてマリリン・モンローになっている。フレアースカートが背中までめくり上がり、
肌色のパンツが丸見えになった瞬間、オネエなアメリカ人が、

 「Oh, gosh...puke! (オェッ、オェッ) 」

何やら派手な外人が騒いでいるのに気付いたオバサンがこちらを振り返る。すると、
フランス人が小声で一言、

 「ウォーリックさん、いずみだ」

泉田?と顔を見ると、一昔前ダブルブッキングで世間を騒がせた能楽狂言方和泉流
の狂言師、和泉元彌の母セッチーこと和泉節子さんだった。私にはセッチーの
スカートの中身よりも、なぜこのフランス人が彼女を知っていたかの方が不気味である。
カフェを出てiPadを開き、オネエなアメリカ人に事情を説明するフランス人。和泉
元彌の画像を見るや目がキラリンと輝き、彼はどこだと探し始めるオネエ。芝生の木陰
では、妻の羽野晶紀が子供を抱いて、先ほどの凶暴なガー子たちに取り囲まれていた。

帰りがけに風車の横を抜けると、建物の裏に狂言和泉流宗家記念館なるものがあり、
ここと彼らの間に何らかのつながりがあることだけは分かった。

帰りの車中では、和泉元彌萌えのオネエ外人がハイテンション。 「彼に会えなくて
残念だわよ。その代わりにオバサンのパンツ丸出し、丸出し」 などと本当にうるさい。

ポール・マッカートニーとセッチー。外人とドライブで遭遇した有名人でした。



ズボラ女ですみません
私は他の人が書いたブログをのぞくのが好き。通勤時間を使ってiPadに張り付い
ては、 「ああ、◯◯さんは今日も更新がない」 、 「✕✕さんはしばらくお休みするんだ」
と独り言を言いながら記事を楽しんでいる。

そんな中、ひと月以上更新がないブログに現れるあのキャッチコピーが気になって
しょうがない。

 「ズボラ女ですみません」

画面を開く度に飛び込んでくるこの一言に、何故か私の心がザワついた。

これは色々手間ひまかけてお肌ケアをするのが面倒な、うすら喪女用の化粧品。
あの 「50の恵み」 みたいに、コレ一本でオケーみたいな干物化粧品ね。お手入れは
面倒臭いけど、かといってこれ以上の劣化は食い止めたいというギリギリ商品。
使っている人がいたらゴメンなさい w

私自身は、首の皮一枚でズボラ女に堕ち切れていない。猫のおかげで掃除は
毎日するし、キッチンの洗い物もためない。いつもいるリビングでは常時 Magic
Ball がグルグルしていて、目に見えないウィルス対策も万全だ。

なのにこのフレーズが突き刺さる...
今日溜め撮りしていた録画番組を見ていた私は、やっとその理由がわかった。


かつての同僚にヒゲの生えた人がいた。女性なのだけど、森三中大島にヒゲを
生やすとちょうど彼女になる。地方都市で厳格な家庭に育った彼女は、東京
外語大の仏文科卒という肩書をもっていた。同年代女子とことごとく会話が成り
立たない彼女はいつもぼっち。気の毒になって話しかけた私に、彼女はやたらと
洗剤を勧めてきた。やれマルチ商法だ、ねずみ講だと評判のアレである。

別に私は気にしないのだけど、洗剤勧めるよりも何気にストッキングがデンセン
してることを遠回しに教えてあげた。するとあっさり 「知ってる知ってる」 とスルー。
縦に3本入った線からは、ギャランドゥのような剛毛が飛び出しているけど、
どうやらお構いなしの様子。

今週末に部屋で鍋をやるから遊びに来ないかと誘われ、断られずに行くことになった。

鍋と聞きもしや他にも誰か来るかも知れないと思った私は、途中有名なパティシエの
店でケーキを6個買った。そしていそいそと部屋に着いた私を、強烈な汚物臭が襲う。

 「ねえ、このぎんなんぽい臭い何だろう」

これからここで鍋を食べる覚悟の私は、失礼だが臭いの元を絶っておきたかった。

 「たぶんベランダの猫のウンコだと思う」
 「・・・・」

話によると、部屋をおしゃれにするために買った観葉植物や、家庭菜園を目指して
購入したハーブの鉢植えが2日で枯れたと言う。そのままベランダに放置していたら、
不在の昼間を狙って、ご近所の猫たちが集合するようになった。ご丁寧に鉢を一つ
一つ倒しては、その上に着々と大便をしていくのが習慣になったとのこと。

 「片付けないの?」
 「あまりにおびただしい量なのよ」

おびただしい、の表現に外語大を感じた。大きな皿に鍋の具材を載せて彼女が
やってくる。テーブルがないから、そこに立てかけてあるのを出してちょーだいと
言う。何度確認しても立てかけてあるものは 「すのこ」 しかない。

 「すのこ?」

鍋敷きもないから一石二鳥なのよ、と笑いながら鍋が煮えるのを待てと言う。
大きなすのこを挟んで向かい会う2人。改めて落ち着いて部屋を見回すと、家具は
本棚とベッドがあるだけだった。ベッドは二段ベッドの下部分を友人から譲り受けて、
その上に布団を敷いたのと言う。和室の天井には、鴨居に洗濯物干しが引っかけられて
いて、でっかいおばちゃんパンツがでんぐり返しになって干されている。その横には
デンセンして干し柿のように縮んだ肌色のタイツが3本。

見てはいけないものを見たような気になって慌てて目をそらす私をよそに、先ほどから
結婚観について自分語りを始めていた。

 「私はね、ブランシュマリアージュでもいいと思っているの」

時に顔を出す仏文科女子。ブランシュマリアージュとはフランス語で白い結婚の意味で、
性交渉のない結婚生活だという。聞いてもいないのに彼氏いない歴=年齢で、結婚は
したいけど面倒臭い夜の生活はゴメンだと鼻息が荒い。BGM かけるわと言ってラジオの
スイッチを入れる彼女。テレビはバカっぽいから 「もっぱらラジオね」 と言う。
そもそもテレビないじゃん。

ガリガリと受信状況の悪いAM放送を聴きながら、私はすのこの端を見つめていたと
思う。こぶし大に丸められた鶏団子を豪快に鍋に放り込みながら、理想の男性像に
ついて語り続ける彼女。

 「大きな鶏団子ね、煮えるのに時間がかかりそう」
 「あ、これ豚よ。1分もお湯に通せば大丈夫」

そう言って小鉢に焼き肉のゴマダレを注ぐ。もういいからどんどん行ってちょーだい
と言って箸をなめるや、そのまま大きな豚団子にズブリと突き刺すと私の小鉢に放り
込んだ。

 「ありがとう」

直箸をとりあえず我慢して団子を割ると、中身が真っ赤にただれている。生煮えの
豚赤身をおいしそうにほおばりながら、森三中大島子は私に別の焼き肉のたれを勧めて
いる。サナダムシの恐怖におびえる私をよそに、こぼれたエノキをシャッシャッと
すのこの下に掻き込んで、シメのうどんを投入した。

 「ウォーリックちゃんは小食ね、まだデザートもあるのに」

そこで自分が買ってきたケーキを思い出す。アマゾンの生肉インディオ食を恐れた
私は、もうお腹いっぱいと言ってあのケーキを待とうと心に決めた。彼女があらかた
一人で食べつくした闇鍋の片づけを手伝いながら、ふと洗剤に目がいく私。あれ使わ
ないの?と聞くと、もっぱらダイソーの洗剤を5倍に薄めて使っているので、手が
荒れてしょうがないのよなどと言っている。

 「もう2回目だからあんまり出ないと思うけど」

と言って急須からお番茶を注いでくれた。ああ、やっとケーキだと思っていると、彼女
が不気味にほほ笑みながらベッドの下に手を入れて、大きなあられの缶を引っ張り出して
きた。

 「アソートだからいろんな種類があるよ。好きなの召し上がれ」

パコンとあけられた缶の中には、見覚えのあるお菓子がバラバラに入っている。

 「アソートって...」

そう、彼女は会社の同僚たちがお土産で買ってきたお菓子をあられの缶の中に
ためていたのだ。吉田さんのちんすこう、横山さんの人形焼き、鈴木さんのうなぎパイ...

番茶をすすりながら、カサカサ、ボロボロになった 「夜のお菓子」 を呑み込む私。
6個のケーキの行方を考えている私に向かって自分語りを続ける大島子。
今、蓄えられるだけお金をためて、きたるべきブランシュマリアージュに備える。その
ためにも贅沢はできないから化粧品は買わないという。最近洗剤の口コミを始めた
のもそのためだと白目をむいて林家パー子のように笑った。

話を聞いていた私は、こんな彼女が私を鍋に招待してくれたことが、実はあり得ないほど
の大盤振る舞いなのだと感謝をして部屋を後にした。

その後、会社に馴染めずに退社をした彼女は、程なくして結婚するや立て続けに3人の
年子を産んだと風の噂で聞く。久しぶりに会いたいなと思っていた私は、そんな彼女を
偶然にもテレビで見かけることになった。

それは深夜番組。視聴者からの心霊投稿ビデオを集めた 「ほんとにあった呪いのビデオ」
の中、社員旅行に興じる投稿者の同僚が映し出されていた。どことなく見覚えのある浴衣姿
にハッとした私は、そのままテレビにくぎ付けになった。3人の子供を産んで十数年ぶりに
見た彼女は、オバサンのようなオジサン顔のモビルスーツに。

ブランシュマリアージュ....
カメラに向かってほほ笑むズボラ女の笑顔は、そこに映り込む心霊の数千倍も
阿鼻叫喚だった。



梨汁ブシャー
ゆるキャラブームの今、熊本県のゆるキャラ 「くまモン」 がとうとう天皇皇后
両陛下に謁見してしまった。

くまモンが橋の上からバンジージャンプをするのを見た私は、子供の頃にみた
ポンキッキを懐かしく思い出す。四六時中眠そうな顔をしたガチャピンは、かぶり
ものごとスカイダイビングをしたり、スキューバダイビングで海に潜っては見る者の
度胆を抜いた。皇后陛下ではないが 「お一人でやっていらっしゃるのですか」
と聞きたいw

ガチャピン同様、くまモンも運動神経がよくて可愛い。何の言葉を発しなくても、
身振り手振りでありったけの愛嬌を振りまき、キレキレのダンスを披露している。
ロンドンに海外遠征をしてパディントンベアと共演したり、天皇陛下にお会いしたりと、
もはや着ぐるみ界に敵はいないのだ。

翻って私の住む千葉県のゆるキャラをみてみると、何だかものすごいことになって
いた。

千葉県には 「神奈川と言えば横浜」 といった代表的な都市の図式が当て
はまらない。政令指定都市の千葉市以外は群雄割拠、船橋、市川、松戸、柏と
いった人口50万人級の中都市がバラバラと集まってできている。50万人と言えば
スウェーデンの首都ストックホルムと同じなので、実は結構すごいのだ。

ディズニーランドもドイツ村も千葉にあるのに 「東京」 と名乗る。おいしいところ
は全て東京にもっていかれた上、地域ブランド力調査で2年連続最下位の茨城県と
合体わざで 「ちばらき」 などと呼ばれている。納豆とサツマイモが名産で、いまだに
ボンタンを履いた 「かっぺ暴走族」 が農道を爆走するという茨城とビューティー
ペアよ   。・゜・(/Д`)・゜・。  (茨城県民の皆さまごめんあさーせ。でも千葉のサツマイモ
生産量はしっかり茨城の次なので、やっぱちばらきだっぺ)


こうしたバラバラの千葉県は、ゆるキャラもバラバラ。54市町村中32の町に公認
キャラがいて、その他、地域団体のものも含めると、全部で80以上のゆるキャラが
いる。なんと千葉県だけでじゅうぶん十六茶のCMができてしまう計算。

そんな千葉県の一押しキャラはチーバくん。千葉県のカタチをした謎の生き物
なのだけど、今一つインパクト無し。千葉県の公認キャラたちが全国的に乗り切れて
いない中、一人気を吐いている非公認キャラがいる。

ご存じ 「ふなっしー」 だ 。

梨の妖精 「ふなっしー」 は、雑でゆるい顔が特徴。両親は普通の梨の木で、
2000年に1度だけ現れる奇跡の梨の妖精。体の青は 「タトゥー」 、目が灰色なのは、
汚れた人間界を見てきたから。さらに、おなかの赤い部分は 「返り血」 で、一説には
「とまっている蛾」 とも。何だかとてもデカダンスでアンニュイなのだけど、その
一方でハイテンションに虚言と毒を吐き、時に梨じるを発射、絶叫とともに過激に跳ね
回る。くまモンのダンスとは一線を画す狂気に満ちた怪しげな乱舞の数々。一体この
着ぐるみのどこにゆるキャラの要素があるのかと思う。

このふなっしー、船橋の梨を全国に広めるべく各種PRイベントに参加応募するものの
どこにも相手にされず、船橋市役所、船橋商工会議所にも断られ、船橋市民祭りでは
参加を拒否されている。にもかかわらず、東京駅の梨PRイベントを含め、すべて
「勝手に」 お手伝いをしに行くという、究極に空気を読まない腐れ梨。

おおもとの船橋市からことごとく拒否られる一方で、全国的な知名度はうなぎ上り。
スッキリ!で投げ飛ばされたり、行列のできる法律相談所には3回も出演。十六茶の
CMでは千葉県のゆるキャラとして新垣結衣の後ろでセンターをはっている。

さらに8月のご当地キャラ総選挙ではとうとう全国1位を獲得し、ロンドンでCM撮影
までしてしまった。

どこからも相手にされず、いっちょうらの着ぐるみが臭い、汚いとののしられ、
とうとう中身の臓物まで飛び出してしまった非公認キャラのふなっしー。このヨゴレ
キャラが、正統派くまモン同様ロンドンにまで行ってしまうという顛末がいかにも
千葉キャラで呆れてしまう。

こうした流れを無視できなくなった船橋市は、10月30日、非公認のままふなっしー
に感謝状を送った。全国一有名なふなっしーが非公認.... だって船橋市にはすでに
公認キャラがいるのだもの。

その名は 「船 (ふな) えもん」。

名前からしてどざえもんっぽいビミョーな響きでしょ。見た目もしょっぱいわよ。

http://www.city.funabashi.chiba.jp/shisei/shoukai/tokusan/p024309.html

今年の3月に決定というから、意地でもふなっしーは公認しないという船橋市の
強烈な意志が伺える。まぁ確かにふなっしーは規格外だけど、船橋市には感謝状
以上のものをもたらしてくれたと思うのだけど。

この感謝状の贈呈式には地元の保育園児と船えもんも立ち会い、市との和解に
感極まったふなっしーが 「感謝感激なっしー」 と絶叫したとのこと。めでたし、
めでたし。

くまモン並みにロンドンまでは行けても、ふなっしーが天皇陛下に会うことは
絶対にないだろうなと思う一方で、それがいかにも千葉県のゆるキャラらしくて
いい。

虐げられ続けたふなっしー。地元船橋への経済効果は1億円というニュースが、
今日流れた。


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