猫と海辺に暮らす翻訳コーディネーターの阿鼻叫喚な日々を綴る日記。

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錦糸町
夕餉の支度に近所のスーパーの鮮魚コーナーを訪れると、店のおじさんが若い
奥様をからかっていた。

新妻風の彼女は、薄いピンクのジャージ上下にクロックスのサンダル、プリンの
茶髪に剥げたネイルというヤンキーな出で立ち。顔が井脇ノブ子に似ているにも
かかわらず妙に艶っぽく見えるのは、酒焼けしたハスキーボイスのせいかも知れ
ない。そんな彼女が、魚屋のおじさんの下ネタに笑顔で一言、

 「やだぁ、おじさんたら」

この彼女のイントネーションが遠い記憶を呼び覚ました。


それは十数年前の錦糸町。駅だというのに周囲全体がイカ臭い。これが下町の
匂いなのね、とワクワクしながら、匂い元の魚屋に立ち寄ってみる。その店は、
たしか丸井側の出口にあったように思う。かつて薬中の朋ちゃんがラリって
転がっていたという場所だ。

別にこの魚屋が目的で来たわけではない。

亀戸天神のお祭りに出かけたものの、残念ながら雨模様。亀戸は何か町全体が
くすんだ感じがする。お祭りなのにどんよりとして沈んでいるのは、この町が
もつ負のエネルギーのせいかも知れない。

盛大な掛け声が起き、そちらに目をやると、前歯のないメタボなおじさんたちが
一斉にお神輿を担ぎ始めた。肩一面が毛に覆われている。あんな場所に毛が
生えるなんてありえない、と思っていると、さらに胸からギャランドゥまでが一枚の
玄関マット風に連なっていて倒れそうになる。出店の屋台ではぼったくりのタコなし
タコ焼きが焦げて切ない香りを漂わせていた。雨も激しくなり、盛り上がりに欠ける
お祭りをあきらめた私は、ちょっとお茶でも飲んで帰ろうと錦糸町で降りてみる。

あたりは夕暮れ。錦糸町駅前は買出しに来た主婦でごった返している。異様な
臭いを放つ魚屋の店先は、おばちゃんの人いきれと魚の生臭さでまだらな活気を
作り出していた。

道路の向こうでは、まげを結った力士が片手に肉まんを持ったまま浴衣全開、
具を露わにして自転車をこいでいる。亀戸といい錦糸町といい、下町はなんだか
ビヨンドだわと思いながら、ぼんやりと台上に並べられた魚に目をやった。

すると台の向こう端に立っていたおじさんが、指で魚の目玉を突き刺しているのが
見えた。

年の頃なら60前後の彼は、身長1メートル50センチほどの日に焼けた痩せ型。
上下作業着を着用し、ブカブカの長靴にビニールの雨傘をもっていた。どことなく
顔が魚っぽい。

そのおじさんが台上のアジの目を1匹ずつ丁寧に突き刺しながら、少しずつ少し
ずつこちらに近づいて来る。

台を挟んでおじさんから対角線上に逃げる私。目を合わせず、威嚇しないように
カニ歩き。するとそこに明らかに場違いなモデル体型のお姉さんが入ってきた。
ピンクのタンクトップに白のホットパンツ、とにかくスラリと背が高い。
175センチはあるだろうか。完璧な八頭身ののびやかな手足にセミロングのストレート
ヘア。壇蜜っぽいお姉さんが台の上の魚を物色している。そんな美女が高い腰を
折って前かがみになりウニに手を伸ばした瞬間、それは起こった。

 「えぃっ!」

さっきの魚顔のおやじが、手にもったビニ傘の先端をお姉さんのお尻に思いっきり
突き刺している。それもまさにど真ん中....

一瞬、周囲の時間が止まり、おばちゃんたちが息を呑んだ。ゆっくりと振り返った
お姉さんに衆人の目が注がれ、緊迫した空気が魚屋全体を覆う。おやじの傘を
むんずと握ったお姉さんは、おもむろに傘を引き抜くとそこで一言、

 「やだぁ、おじさんたら」

アニキと呼ばせて下さい。私だったら手あたり次第そこいらの魚貝類を投げつけて、
鶏ガラオヤジの首を締め上げていたに違いない。あまりにあっさりとした男前の一言に、
肩透かしにあう私。
そして彼女は含み笑いを残し、雨の錦糸町に消えていった。


今夜、スーパーのヤンママのしゃがれ声が、錦糸町のお姉さんとオーバーラップして、
あの雨の日の記憶を呼び覚ます。そして今、十数年の時を経て思うこと。
それは、あのお姉さんが、実はお姉さんではなかったのかも知れないという事実。

今思えば微妙に上下の喉ぼとけ、平行移動する二の腕の力こぶ、そして究極の
セクハラにあってあの含み笑い....

錦糸町で一番怖いのは、実はあのお姉さんだったのかも知れない。


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小林製薬
テレビから流れてくる小林製薬のCMを見ていて感じること。

こんなマニアックな症状に薬があるのね、と思わせる豪華商品ラインナップの数々。
新しいCMが流れる度に 「おっ、これは絶対小林製薬!」 とワクワクして見ていて
期待を裏切られたことがない。

一体、この薬はどれほどの人が必要としているマーケットの規模?
さらに、果たして儲けはでているのかしら、と思わせるような隙間産業の商品群。

でも、会社のキャッチフレーズで 「あったらいいな!をカタチにする」 と言い切って
いるのだから、きっとそういう購買層にターゲットを絞って市場に送り出しているのね。

マニアックな症状と、そのネーミングの斬新さで同業他社を寄せ付けない小林製薬
の商品をみてみたい。


◯ 「コリホグス」 「コムレケア」
小林製薬の商品はネーミングが命。製品名がそのまま薬のもつ症状緩和の処方箋
になっている。
「コリホグス」 は肩こりを、そして 「コムレケア」 はこむら返りをほぐしてくれるお薬。
こむら返り専用治療薬なんて、いかにもマニアックでゾクゾクしてしまう。
世の中には、いつか来たるべきこむら返りに備えて 「コムレケア」 を購入常備する人が
きっといるのだわ。

有名な 「アンメルツ」 も、もちろん小林製薬。このシリーズには 「アンメルツゴールド
EXグリグリ」 という、いかにも私好みのものがある。何でも添加部に鉄球がついていて、
患部をグリグリするらしい。これ以外にも、肩こりに関連して起こる頭痛がひどい方には、
「塗るズッキノン軟膏」 という専用薬も。ただの頭痛薬じゃないわよ。

◯ 「アッチQQ」 「フキデケア」
こちらもネーミング通り、 「アッチQQ」 はやけど用、 「フキデケア 」 は、まんま
吹き出物。ニキビではなく吹き出物なところがミソでございます。
皮膚つながりでいくと、 「タムチンキ」 もどうぞ。 「タム」 は、いんきんたむしという
特異な語彙を彷彿とさせるネーミング。一方の 「チンキ」 はよく塗り薬に使われている
けど、なんでチンキなのかしら。

デブチン、チンキ、ホルモン等、もともとどこからきたのやら語源の分からない単語が
いかに多いこと。いんきんたむしにしろ、チンキにしろ何気に淫靡で怪しげな響き。

このままシモ系を突き進んでいくと、あそこがかゆい男性には 「ムズメン」 。そして、
その女性版が 「フェニミーナ軟膏S」 。

さすがにフェミニーナは女性向けだけあって、コマーシャルでも 「デリケートゾーン」
などとオブラートに包んであるけど、男性用は相変わらず容赦がない。「ムズメン」は、
その能書きで 「股間、内股のかゆみ、かぶれに」 とおもいっきり言い放っている。男女
いずれも買いづらい商品の一つだわ。マツキヨでスーツ姿のリーマンが 「あの、
ムズメンありますか」 とか、ギャルの女子高生が 「フェミニーナ3本ください」 などと
ありえない。

個人的に、男女でかゆみ止め成分が違うものなのかどうか興味津々。

◯ 「ボーコレン」 「ツージーQ」 「ガスピタン」
シモ系さらに。 「ボーコレン」 は排尿痛用。この症状は聞くからに可哀想。この薬で
排尿痛や残尿感のもとになる菌を押し流すらしいのだけど、トイレの度に痛い方は一日も
早くこの 「ボーコレン」 で治してください。 「ボーコレン」 のボーコは膀胱だと思うけど、
この症状に関連して、同じく残尿感や頻尿の方には 「ユリナール」 がございます。

症状別に細かく行き届いた商品の区分けがさすがに小林製薬。 「ツージーQ」 はお通じ
だから便秘用、ちなみに坐薬でござます。ご自身で発射してください。そして 「ガスピタン」
は放屁をピタン...ディープだ。

素敵なネーミングが続く中、今一つ押しが足りないのと思えるのは、男性用メタボ改善薬
「ナイシトール」 と、その女性版ぽい 「ビスラットゴールド」 。このパッケージには
「肥満症、常習便秘」 という絶望的なメッセージが。デブで常に便秘 ゚+。:.゚(*゚Д゚*)キ゚.:。+゚
しかも肥満症などと...デブって病気なのね。

この2品については、ちょっと遠慮がちで小林製薬っぽくない感じ。
せめて 「ニクトール」 とか 「デブコロリ」 ぐらい突き抜けて欲しかった。

その他、ドロドロ血をサラサラにする 「ドルチトール」 、耳鳴りを止める 「ナリピタン」 、
手足のしびれを止める 「シビラック」 、イライラを止める 「イララック」 、扁桃腺のはれ
には 「ガラゴック」 。どれもこれも症状が大風呂敷でステキ。

また 「おむつゴミサワデー」 や、外出先のトイレの匂いを消す 「トイレその後に強力1滴
消臭」 などという、かゆいところに手が届く大便臭商品がズラリ。

私も小林製薬の 「チクナイン」 にお世話になっている。
もう少しお値段が安くなるといいのだけれど....

一体誰が考えているのか知らないけど、これからも大好きな小林製薬のネーミングに
ゾクゾクしながら期待したい。



戸川昌子
会社から帰り、テレビをつける私。

最近はめっきり見る機会が少なくなったものの、いまだに部屋の照明をつけると同時に
テレビのスイッチを入れてしまう。

猫に食事を用意して、部屋の掃除をする。さて、自分の夕食は何にしようと思いながら
画面に目をやると、50インチの大画面に戸川昌子の顔が大写しになって思わず息を
呑んだ。

 「マグマ大使のゴアだわ」

往年の特撮ファンには垂涎ものの 「マグマ大使」 。彼はロボットにもかかわらず金髪の
ロン毛をなびかせ、地球の平和を守るため日夜ゴアと戦っていた。昌子さまとゴアを
ご存じない方のためにこちらをどうぞ↓ (【閲覧注意】 上はご本人、下はゴア )。

http://kotobank.jp/word/%E6%88%B8%E5%B7%9D%E6%98%8C%E5%AD%90
http://blog.goo.ne.jp/spaceharrier/e/c058d71754393d24cbc75c15daefe98b

先日のいしだあゆみに加えて、この戸川昌子、都家かつ江、ちゃっきり娘、そして清川
虹子。いずれも甲乙つけがたいどどめん女優陣の中でもトップレベルの破壊力を
もつ。子供の頃、熱を出してうなされると、必ず彼女が夢枕に立ってリリーマルレーン
を歌っていた↓ (【閲覧注意】 上は昌子のリリーマルレーン、下は清川虹子 )。

http://www.youtube.com/watch?v=X6ZkMfwFmg4
http://bgourmand.blog.fc2.com/blog-entry-571.html

戸川昌子女史の人生は波乱万丈。そのお顔に負けず劣らず、私生活も壮絶なインパクトを
もって迫ってくる。江戸川乱歩賞受賞作家でシャンソン歌手。往年の 「プレイガール」 では、
沢たまきんと共演した女優でもある。

シャンソン歌手としての実力は上のようつべでご欄の通り。作家としての作風でいうと、
例えば 「緋の堕胎」 という作品は、訳ありで中絶した胎児を絞め殺したり、夜毎女性を
漁る男の 「猟人日記」 など、しょっぱい話が多い。また、数々の男性を渡り歩いた
かと思うと、当時としては珍しい高齢出産をしたり、選挙に出馬したりと、実生活でも破天荒
この上ないのだ。

そんな彼女が経営していたお店が有名な「青い部屋」。常連には三島由紀夫、川端康成、
野坂昭如、岡本太郎、なかにし礼、美輪明宏、寺山修司といった錚々たる顔ぶれ。性の
マイノリティーに寛容な彼女は、このサロンの従業員にホモセクシャルやレズビアンを雇って
いて、ご近所からは動物園呼ばわりされていたとのこと。私も大学生の頃レズのクラスメート、
リカさんにこのサロンに誘われたことがあったけど、残念ながら断ってしまった。ちなみに
新宿二丁目には姉妹店 「蒼ざめた肌」 というのがあったらしい。

昌子さまはこの「青い部屋」でおなべに囲まれてシャンソンを歌うのだけど、日本の
シャンソン界のメンバーがまた神。今は無きシャンソン喫茶銀巴里 (ぎんぱり) で歌って
いた美輪明宏、越路吹雪、ワハハ本舗の梅ちゃんこと梅垣義明、ピーコ、美川憲一、
米良美一さまなどなど。

昌子さまの今回のテレビ出演では、長年信用していた従業員に売上げを持ち逃げされ
て、この 「青い部屋」 をたたまざるを得なかったことを語っていた。そしてまたこの店
を開くため、息子NEROとともに借金を返しているというレポートだった。

まさにシャンソンを地で生きたような人生。今の彼女に残されたものは、借金と高齢
出産で授かったこの息子だけ。80才になった今も、息子と二人でステージに立って
いる。

番組企画お約束の息子からの手紙にさえ涙一つ流すことなく、笑って終わった彼女
のレポート。その後に、スタジオにいた友人の冨士眞奈美が昌子さまの口癖を紹介
していた。

 「私はこれまで多くの男を愛してきたけど、息子ほど愛した男はいないのよ」

懸命に生きてきた女の一生。まさにモーパッサンの小説のようなこの一言で、また彼女
のことが好きになった。一日も早く 「青い部屋」 を再開できますように。今度はきっと
お邪魔します。



あの人は今
今年1月このブログを立ち上げた当初、私には夢があった。

一般女子のブログのように、「今日食べたスィーツ♪♪」 「街角で出会った子猫ちゃん」
「渋谷のお店で見つけたかわいいアクセ」 みたいなトピックスに撮りだめした写真を
ちりばめて、女子力溢れるキラキラ感で飾り立てたい。

そして、半年が過ぎた私のブログタイトルたち。最近の主なものを拾い上げて
みただけでも、「ちんすこう」 「ベルク・カッツェの靴」 「お蝶夫人と汚超腐人」
「しょんべん芸者」 「女装子」 「おおブレネリ」 「尿漏れパンツ」 などなど....

そこにはスィーツもKawaii!もない、ただ荒涼とディープでマニアックな世界が広がる。
意図したものとは全く逆の方向に、ひたすら先鋭的に突き進んでいるような気が
してならない。読者のコメント覧には 「魂の根底に武士道精神を感じます」 とか
「ニューハーフかと思いましたっ!」 といった言葉が飛び交い、女子力という
言葉はもはや木っ端みじんに。

もう 「私の好きなハーブティーのお店」 的なトピックスには、後戻りできないのね。
そう書きながら、そこはかとない胡散臭さを感じる私。そもそもそんな可愛いブログは
無理なのだ。まっすぐに前を向いて、この阿鼻叫喚なブログを続けるしか道はない、
と気持ちを新たにする。

今日のお題は昭和の昔芸能人。少し前の世代の女優さんを中心に、「あの人は今」
的なランキングしてみたい。

第5位 松尾嘉代
かつて2時間ドラマの女王の名をほしいままにし、数々の役柄に果敢に挑戦して
いた彼女。主役扱いなのに罠にはめられてベッドに連れ込まれたり、貞淑な妻
なのにベッドに連れ込まれたり、凛とした旅館の女将なのにベッドに連れ込まれ
たり、悪女風キャリアウーマンなのにベッドに連れ込まれたり。

飄々とした演技の中に秘めた女の情念や嫉妬、エロスを演じさせたら右に出る
ものはなかった。加賀まりこを出刃包丁で襲い、「あら」 と一瞬驚いている
うちに、いつの間にかエロいことをしているような役が多かったの。

当時、50歳を目前に発表したヌード。熟女ヌードというと、どうしても怖いもの
見たさが先にたって一部のマニア向けだったりするけど、彼女のヌードは本当に
きれいだった。

ここで熟女ヌードにちょっと寄り道。

相当昔の話ではあるけど、それまでグラビアといえば雑誌で表紙を飾るにふさわ
しい人だけがヌードになることを許されていた。日活ロマンポルノ 「燃える団地妻」
の白川和子姉さんのような女優 (なんだか団地妻がツボだわww)。

それが80年代に入るあたりから、にわかに世間の嗜好が変わり始める。世の中
がバブルに突入する時代、人々は「普通」というものに飽きていたのかも知れない。
そんな1億総変わり者願望の中、ある種の雑誌で頻繁に熟女たちが服を脱ぎ始めた。

演歌歌手の島倉千代子が流木にしなだれかかって二の腕の振袖や三段腹を
さらしたり、林真理子がカメラ目線でB畜を披露したり щ(゚ロ゚щ)

あげくの果ては、加山雄三の父上、当時70歳近い上原謙様の愛人として登場
した大林雅美が、お騒がせヌードを発表。図らずも本屋の店頭で立ち読みをした
私は、いきなりガマガエルのようなおケツのアップにさらされて倒れそうになる。

当時、こうしたPenthouseやGOROといった熟女雑誌は、「SMスナイパー」 とか
「スカトロマガジン・ビリー」 といったいかがわ本と同じコーナーに置かれていて、
そこに女子が行くことは死を意味していた。手にとってページを開くなど女子児童に
とっては命がけの暴挙だったのよ。

ちなみにこの大林雅美さま、今も銀座のどこかで 「まこん」 なんて思わせぶりな
名前の店でママをしていらっしゃるとのこと。一体何歳よ。

閑話休題。

あまりに強烈なメンツの挿入ですっかり存在がかすんでしまったけれど、松尾嘉代
は演技派女優。八つ墓村ではテレビシリーズ版に出演していた。でも個人的には
映画版に出て、化け物と化した小川真由美と洞窟で対決して欲しかった。

彼女はすでに芸能界を引退されてしまったという噂。阪神淡路大震災でボランティア
を経験したことで人生観が変わったのが理由等、諸説あるものの、今の松代嘉代さん
を是非もう一度テレビや映画で拝見したいと思う。

第4位 白石加代子
白石加代子を初めて目にしたのは、確か横溝正史の映画版 「悪魔の手毬歌」 。
普通の中年女性役なのに何か怖い。当時、それほど有名ではなかった彼女が恩田
幾三の写真照合シーンで見せた演技は、渡辺美佐子や草笛光子といったベテラン
女優を優に凌駕する存在感。その後、約20年の時を経て、同じ横溝正史の 「八つ墓村」
で再会した時には、もはやこの世のものではなかった。

 「たたりじゃ、八つ墓明神のたたりじゃ」

と、叫びながら村を練り歩く濃茶の尼役は阿鼻叫喚の一言。彼女の存在で映画の
ジャンルをミステリーからホラーに変えてしまった。下記引用 URLの「花みつ家の一族」
頁上から3段目に彼女のお顔。お隣の金田龍之介さんもお見逃しなく↓

http://homepage3.nifty.com/~gohideki/hypergo/familytree.html
    
彼女と 「姑獲鳥の夏」 のいしだあゆみには、2度ほど夢でうなされたことがある。
舞台 「身毒丸」 では、ロンドン公演で国際女優の評価を獲得!私の目に狂いは
なかったと実感した瞬間だった。

第3位 岸田今日子と朱里エイコ
こちらの両名はすでに物故者。私の中でははずせないお二人なのでとりあえず
エントリーさせていただきました。

第2位 ちあきなおみ
さきほどの朱里エイコ、それに 「人形の家」 の弘田三枝子と並んで、最強歌手
の1人。このお三方はどうしてもお顔のインパクトが先行するけど、歌は本当に
すばらしい。新曲発表からわずか3ヶ月でレコード大賞をもぎ取った彼女は、歌唱力
に加えて独特の表現力を武器にもつ。聴衆を巻き込む、説得力のあるパフォー
マンスは誰にも負けない。かつてものまねタレント中島マリが 「夜へ急ぐ人」
を演じていたけど、実はあのまんまだったりする。鬼気迫る 「おいでおいで」 を
ご覧下さい ( 【閲覧注意】 上はご本人、下はものまね )。

http://www.youtube.com/watch?v=zCBV9IcSxIk
http://www.youtube.com/watch?v=UMd-F1BVUbE

ちなみにデビュー当時のキャッチフレーズは 「苗字がなくて名前がふたつ」 「魅惑の
ハスキーボイン」 。一体、彼女の事務所はどこを目指していたのかしらと思うけど、
一度彼女の声を聴けば、その奥深さに魅了されるはず。ご主人を亡くされてから、
長く休業を続ける今でも、彼女の復帰を待ちわびる声は根強い。私を含めたファン
の皆さんはきっと彼女の復活を待っているはず。

第1位 藤谷美和子
「100円でポテトチップスは買えますが、ポテトチップスで100円は買えません」 と
いう、いかにも彼女のキャラにあったCMで人気者に。「ゆうひが丘の総理大臣」
「あさひが丘の大統領」 で女優になり、歌手として 「愛が生まれた日」 を唄えば
ミリオンセラー。私はデビュー当時から、元祖プッツン女優の彼女が大好きだった。

落ち着きがなく言っていることも訳が分からないけど、見るからにシャイな笑顔
から、きっとデリケートな人なんだなと好感をもっていた。本当にかわいい。
あのズレ具合もキャラ作りの一環だと思っていたのよ、少なくともあのニュースを
聞くまでは...

 「紀宮さまは私の妹!お会いしてお手紙を渡したいのです。」

突如として皇居にタクシーで突撃し、守衛さんに向かって言い放ったというこの
セリフ。よりによって日本国最高ランクのタブーに1人果敢に挑んだ彼女は、警察官
相手に1時間もタクシー内に篭城したという。

ホンモノだった。

彼女がここまでになってしまった背景には、プライベートでいろいろなストレスや
出来事があったに違いない。徐々におかしくなり始めた頃の出演番組を振り返って
みると、明らかにそれまでとは違う挙動不審さが垣間見えて涙が止まらない。
どうしてもっと周囲の人がこの時点でケアしてあげられなかったのだろう。
実力のある女優さん、歌手であるだけに本当に残念で仕方がない。

一説によると、キャリーバッグを引いた彼女が今、小田原の街を徘徊しているという。
しかももの凄いスピードで。

透明感のあるあなたが、いつの日か復活してくれることを願うファンがここに
います。一日も早く戻ってきて下さい。

http://www.youtube.com/watch?v=a2XNoot5fBc


尿漏れパンツ
それは客先に出張した時のこと。

私が所属する部門とは別セクションで担当している家電機器の取扱説明書。これを
Tradosという翻訳支援ソフトのデータベースを使用して、10ヵ国語を超える言語に
翻訳展開をする。この日の打ち合わせに出席できない同僚の代打として、急遽、
部門の違う私が彼の地に赴いた。

ローカル線を乗り継いで到着した場所は、某有名家電メーカーの工場。
駅周辺には何もない。タクシーで到着した工場は、広大な敷地の中に数棟の建物
が点在し、その規模の大きさに圧倒される。製造業は東南アジアに移管し、すでに
国内は空洞化が進んでいると聞いていた私の情報は、果たして古かったの
かしらと思う。

程なく打ち合わせが終わり、すでにお昼時となっていた。客先の担当部長さんが、

 「うちの社食で食べて行きませんか?」

と言う。工場周辺はおろか、駅に戻ったところでこれといったレストランもない。
折角だから接待したいけど、まだお昼だからせめて社食でもどうですか、との申し
出により、一緒にお昼を御馳走になることにした。

テレビで見たタニタ風の食堂をイメージしていたものの、実際の社食は無機質な
工場の延長でちょっとがっかり。部長さん達について席につくと、私の目の前
にはこの会社ご自慢の大型モニターが居座っている。画面にはお昼の奥様向け
番組が流れていて、皆、食い入るようにモニターを見つめていた。

サバが嫌いな私は、トレーに載せられた味噌煮を見つめながら、絶望的な
気分になる。ああ、お断りしてそのまま帰っていればとギラギラとしたサバの皮
に箸をさした瞬間、私の耳に大音量のテレビナレーションが飛び込んできた。

 「本日は尿漏れパンツ5枚組のご紹介ですっ!」

お昼時の食事中にあえてこの番組のチョイス。勿論ただのCMなのだけど、
何だかとても気まずい。なぜみんな平然としているのかしら。

大画面に大映しのおばさんが、おもむろに大きなくしゃみ。すると、こりゃ
あかんやつや、と立ち止まって股間をおさえている。そして 「皆さんもこんな
経験ありますよね!」 と明るいナレーション。

 「生まれてこの方一度もないわよ」

サバをつつきながら見て見ぬふりをしていると、ヘソ上10センチはあろうかという
でっかいおばちゃんパンツがでんぐり返しにされている。中についている分厚い
パットは三層構造なので、どんなに大量に漏れ出しても大丈夫!とか言っている。
そんな、汚染水でもないものを。さらに、特殊加工で激しい匂いも防止、二日目も
安心などと実に生々しい。

激しい匂い....しかも、世の人々は尿漏れたパンツを二日続けて履くということ
なのかしら。

そもそもこのネーミングだ。「尿漏れ」も「パンツ」も実にあられもない。も、少し
何とかならないものかしら。奥ゆかしく、そしてそこはかとなくみやびやかな日本語に
あって、あまりに身も蓋もなさ過ぎ。もし私だったらしょっぱ過ぎて、お店で 「あの、
尿漏れパンツ3枚」 などと口が裂けても言えない。だからこそ、こうしてテレビ
通販でやっているのだろうけど (さすがにセシールでは 「安心ショーツ」 と、デブを
ポッチャリの言いかえ適用)。

 「お色はシックなベージュと上品なワインレッドをご用意」

今更シック、上品などと。すでにネーミングが 「尿漏れパンツ」 の時点ですべて
オワコン、お色だけ品よくという訳にはいかないんじゃ。実際、私にはシック
なベージュが、幼稚園の頃に最後まで手つかずで残ったクレヨンの 「おうど色」 に、
上品なワインレッドはお婆ちゃんの 「あずき色」 にしか見えない。そもそもお昼時に
こんなCM流すんじゃないわよ。

サバの皮がヨレヨレになってきた。テレビではお姉さんがさらにヒートアップ。

 「本日はさらに5枚をお付けしてお値段変わらず6,800円!」

ちょ、ちょっと待った。5枚で6,800円ではなかったの。仕入れやマーケティングが
謎すぎる。

そう言えば以前、小型カメラのCMで 「今ならカメラをもう一台プレゼント」 などと
やらかしてるのを聞いて、テレビの前で倒れたことがある。何かがおかしい。
今、カメラを買った人間が、すかさず二台目はいらないのだよ。だったら一台でその
代金を半額にしてくれた方が人情ってもんだ。なぜにここまで不要なカメラや尿漏れ
パンツを盛ってくるのかしら。

サバとパンツで食が進まず、大画面にくぎ付けになっている私に気づいた部長さんが、

 「おっ、ウォーリックさんも1枚買いますか」

隣に座っていた女性担当者が 「部長、それセクハラですよ。ごめんなさいね、もう!」
と言う。こういうのに無頓着な私は、ああ、これもセクハラなんだと思いながら、
女性担当者の気遣いにほほ笑んでいた。

テレビでは、さらに今から30分以内にお電話の方には、中敷きパットをつけますよ
などと追い打ちをかけている。いつの間にか破壊されたサバを箸でつまんだ私は、
涙目になりながら小骨もろとも味噌煮を呑み込んだ。

需要と供給。必要な人がいるからの商品開発だけど、秘めた奥ゆかしさという日本人
本来の美徳は一体どこに行ってしまったのだろう。テレビコマーシャルのあり方に
疑問を感じながら、客先の工場を後にした。



東京ラーメンストリート
その昔カマトトと呼ばれた種族は、時を追うに従ってブリッ子と呼称が
変わってきた。異性の前に出ると、声のトーンが1オクターブ上がる。そして、
なぜかしら首が細木数子のように左右に揺れ動き、上目使いで微笑みかける。
同性の間では甚だ評判の悪い女子たちだ。

その対局として、女子会などでは、サバサバと姉御肌で男に媚びない女たち
がもてはやされる。異性に取り入ることなく、男女の別なくフェアーに振る舞う。
でもそんな男前の女子たちも、好きな異性の前では多かれ少なかれブリブリ
するのよ。皆それを知っているだけじゃなく、時にそんな自分が可愛いとさえ
思っていたりする。にもかかわらず、なぜかブリッ子は許せない。

私からすれば、嘘つきという意味ではどっちもどっち。

むしろ、後々給湯室であらぬ噂を垂れ流すくらいなら、正面切って堂々と
ブリッ子する女子の方が100倍潔いと思う。いずれにしても、若いうち
なら、あら可愛い!で済まされる媚態の範疇。

ブリッ子には寛容な私が、珍しくちょっと引いたお話。

東京駅構内には、東京ラーメンストリートがある。数多くの有名店が軒を
ならべ、その味を競っている。週末ともなれば、どの店の前にも長蛇の列が
できて、整理員が出るほどの盛況ぶり。列に並ぶのが苦手な私は、これまで
一度も試したことがないものの、お気に入りのイタリアンレストランに行った
帰り道は必ずこのストリートを通って帰途につく。

入店待ちの行列は、一部、駅の階段にまで延びている。その階段の踊り場で、
ひときは目を引くヲタカップルの会話が耳に飛び込んできた。その場で目が釘付け
になった私は、おもむろに携帯電話を取り出す。そして、踊り場を見渡せる
上階に陣取ると、メールチェックのふりをして事の成り行きを見守った。

女性は首や背中の肉のつき方から、実年齢は三十路超え、その体重は90キロ
オーバー。外見は「太陽にほえろ」でボスをやっていた頃の石原裕次郎が女装した
感じで、練炭殺人の木嶋佳苗にも見える。全体的に黒ずんでたるんだたたずまい。
顔には劣化の基本3線、ほうれい線、ゴルゴジワとマリオネットラインが深く刻まれ、
右の前歯が金歯。量の少ない髪を頭の斜め上でポニーテールという斬新なヘア
スタイルでキメている。

ノーブラキャミにスリットの入ったミニのしつらえは、往年の由美かおる「炎の女」
を思わせる着こなし。タイヤのミシュランキャラのような体は傍目にもじっとりと
汗ばみ、その体を隣に立つ男の肩に預けている。

彼女をその細い肩で支える男は、一段下の階段に立っている。ビジュアルは
アンガールズ山根で、彼女の巨体を支える体は無理を承知で弓なりにエビぞって
いる。光り輝くストレートヘアは、それがワックスなのか、ナチュラルな皮脂による
ものなのか甚だ謎である。棒のように痩せて年齢不詳な彼が、今、一生懸命に力士
な彼女を支えて立っていた。

この男に向かってデブ子がアニメ声を発射。

 「ミカリンは、豚骨大盛り、ギョウザ、チャーハンのデフォでいきまぁす。
  今日は俺氏のおごりだす。」

彼女はミカリンというのね...その声は「眠眠打破」 のCMで発せられる芹那バリ
のつくり声に、美輪明宏のビブラート付き。初対面にも関わらず、心の奥底
から沸々と湧き上がるこの殺意は何だろう?それにもまして、なぜか目を離すこと
のできない中毒性のあるビジュアル。

すると、それに答えるアンガールズ山根、

 「おょょ、太っ腹だねぇ。」

やはりアニメ声。こちらはボルタレンのCMで 「これでダメなら病院行けよ」 の
トレーナーばり棒読みトーン。

 「何よそれ、太っ腹って、太ってるってことなのぉ!」
 「そんなことないよ、グヘグヘハヘ…」

ツボにはまったらしく、引き笑いを続ける男の顔を見ていると、今すぐにでも
首に重石をくくりつけて印旛沼に沈めたい衝動に駆られる。すかさず金歯を光らせ
ながら、ミカリンが無慈悲な波動砲を炸裂させた。

 「そんなお口の男の子には、エッチしてあげない。もぅプンプンっ」

器用に前足をあやつりながら両手でグーをつくり、そのまま頭の横にあてると、
回らない首をかしげてプンプン!。さとう珠緒のアレだ。目ヂカラをこめて
ねっとりとアンガールズ山根を見つめると、二人の間に熱い沈黙が起こる。

その間、ミカリンの口からほとばしり出た「エッチ」という魔法の言葉が、
ラーメン待ちの列に居並ぶありとあらゆる男たちの食欲と生気を奪い、恐怖の
どん底に叩き付けている。

見つめあう二人の長い沈黙を破り、ミカリンが 「んもぅ、ばっかぁ」 と二の腕
を震わせて山根男を小突いた。何だか意味が分からない。

力士の力のあまり階段を3段ほど転げ落ちた山根男が、今度は顔を作っている。

不二家ペコちゃんのように無理無理舌を口の横に飛び出させると、片手で
頭をかきながらテヘッと言う。

何だかジャイアンのようにぶっとばしてやりたい衝動に駆られ
ながら、全力でその場を後にした。私の中に沸き起こる感情。それは、
たった今、階段劇場で演じられた二人の小芝居に腹が立ったというよりも、
ある種お似合いのカップルが妬ましかっただけなのかもしれない。人目を
はばかることなく繰り広げられた一体誰得の愛の劇場。

たとえデートのメインディッシュがとんこつラーメンで、彼女の体もとんこつ
で、そして彼氏がアンガールズ山根でも、あの勝ち誇った表情の力士は全身から
女性の幸せを放出していた。まさに勝ち組の余裕。

目の前の彼氏のためだけに演じられた彼女のブリッ子が、実は究極のピュアな
愛のカタチなのかしら、とため息をついて、蒸し暑い東京駅を走り抜けた。


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