猫と海辺に暮らす翻訳コーディネーターの阿鼻叫喚な日々を綴る日記。

スポンサーサイト
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

日本人として
先日の「サマービーチふたたび」をご覧になった常連さんからのコメント。
私には「武士道精神精神」が宿っているとのことww

実は私自身、このコメントに思い当たる節がある。私は日本が大好きで、日本人で
あることに誇りをもっている。仕事の関係上、外国人の知り合いが多く、公私共に
付き合いが多い中で感じることは、私はどこまで行っても日本人なのだという事実。
これは今はやりの右傾化でもネトウヨでもなく、ごく自然に私の中に息づいている
感覚。

この当たり前の感覚を、私は深く考えたことがなかった。そんな私が国籍を真剣に
考えるきっかけとなったのがイギリスへの留学だった。

国際語としての英語習得と大好きなイギリスでの生活。ヨーロッパの端に位置する
この国で、図らずも多くの異なる国の人たちと出会うことで、私の中に日本人としての
意識が芽生えてきた。

イギリス滞在の初年度、大学院の準備コースにいた私は、ヨーロッパ中の学生と
共に英語を学んだ。ホテルとは名ばかりのドミトリー形式の学校で、世界中の生徒と
生活を共にする。半年もいれば、彼らが話す英語のアクセントや風貌から、どこの
国の人かが分かるほどになる。それほど言葉を含む文化背景、国籍というものは
個人と切っても切り離すことのできないものになっている。

ある日のディスカッションの授業で、クラスのそれぞれが別の国にもっている
疑問点を聞き、それを当事国の人間が答えるというテーマが出された。フランス、
スペインと終わった後で、いよいよ日本の番。同じ英語レベルのクラスには、私を
含めて3名の日本人がいた。

まずスペイン人からの質問。

 「なぜ日本人はクジラを食べたり、イルカを殺したりするの」

別に悪意があって聞いている訳ではないのに、他の2人の日本人クラスメートは
なぜかとても怒っている。攻撃されたと思っているらしい。気を悪くした上、
恥ずかしがって反論もしないものだから、スペイン人たちは「何か表沙汰にできない
やましい理由があるのでは」と勘繰り始めていた。このままでは日本が危ないと
思った私は、自分の回答番ではなかったものの割って入る。

 「北極圏にいるイヌイットが伝統的にクジラ漁をしていたように、ノルウェーや日本
  でもクジラ漁をしていました」

 「でも、動物を殺すのは残酷ではありませんか」

 「個人的には、絶滅の危機にある種は保護すべきだと思います。ただ、逆に日本人
  からみれば、スペイン伝統の闘牛は同様に残酷ですし、シーシェパードを支持する
  オーストラリアがカンガルーを食肉加工していることも理解できません」

闘牛はスペイン人の鬼門で、触れてはいけない部分。あえてここに触れてでも、立場が
変わればものの見方も変わるという事実を突きつけなければならない。誰も自分たち
だけを棚上げはできないのだ。

次はフランス人。

 「日本人は紙の消費のために、他のアジアの国で森林を伐採して環境破壊を続ける
  のはなぜですか」

 (カチン!)

 「確かに日本は紙を消費しますが、そのリサイクル率も世界トップクラスです。また、
  日本企業が中心になってアジアで植林を進めています。環境破壊という意味では、
  フランスがなぜポリネシアで核実験をするのかわかりません。次回は是非、太平洋
  ではなくパリの中心でお願いします」

ちょっと意地悪な反論に、クラス中から拍手が起こる。特に、エコと放射能にうるさく、
フランス人を大嫌いなドイツ人から大きな拍手をもらった。言われっ放しで黙って
いると認めたことになってしまう。誤解を避けるためにも、言うべきことはしっかり
言わせてもらう。もしやこれが私の「武士道精神」ww

こうして一度国を出ると、好むと好まざるとにかかわらず日々自分が日本人であると
いうことを思い知らされない日はない。

ベッドメイクをするイギリス人の清掃員は、私の部屋を見るなり、

 「あなた日本人ね。私にはわかるのよ」

一般的な西洋人にとって、東洋人は十把一絡げ。日本人も中国人も区別がつか
ない。でも一歩部屋に入ると、起きた後のベッドカバーをきれいに直したり、
ごみ箱にポリ袋を敷いたり、スリッパを綺麗にならべたりといった細かなマナーが
できているのは日本人だけらしい。ローテーブルには決して足を乗せないし、人の
会話の腰を折ることもない。つつましやかで礼儀正しいから、私たちは日本人が
大好きなの、という(つ・つ・ま・し・や・か...)。

この他にもヨーロッパの人たちに距離を置かれていたエジプトやトルコのイスラム
教の人たちも日本びいきで、とても仲良くしてもらった。

こうした経験から、いつも自分が日本という看板を背負って歩いているのだという
自覚が芽生えて、他国の人たちが興味を持ってくれている日本をよく深く知りたいと
思うようになる。

悲しい戦前の反省から、戦後の日本人が奥ゆかしく避けてきた「愛国心」という言葉。
健全な意味で祖国を愛する気持ちは、国際舞台で生きていくために欠かすことの
できない精神的な礎になる。

IMF拠出金単独国1位、国連分担金世界2位、ODAは5位。震災や長期のデフレに
見舞われながらも、他国の為替操作に目をつぶり、文句一つ言わずに経済力で世界を
守ってきた。ファッションやゲーム、アニメといったソフト面での文化的な影響力と
ともに、近年、数多く受賞し始めたノーベル賞を始めとする学術分野での活躍。
テロリストも独裁者もいない。民族浄化も内戦もない平和なこの国を心から誇らしく
思う。

電話ボックス、ATM、自動販売機が壊されることなく設置され、コンビニが24時間
営業し、疲れたサラリーマンがいねむりできる電車が定時にくること。全てあたり前
の日本の日常が、世界ではあり得ない安全と信頼の上に営まれているという事実を
知るだけでも、日本人に生まれてよかったと思う。

スポンサーサイト

サマービーチふたたび
先日のサーフィンに味をしめたフランス人の子分が、週末また御宿に行くという。

「勿論ウォーリックさんも来てください」

と、当たり前のように。

なぜにサーフィンをしない私がいちいち保護者代わりに房総半島くんだりまで
出向いて、砂かぶりの刑に遭わなければならないのだ。しかも、日長一日、岩盤浴
さながらの灼熱地獄に横座りをしてiPadでジャパネットたかたの掃除機特集見るとか。

そう思いながらも、これまでの自分をふと考える。暑いビーチは嫌いといいつつ、
なぜかグアム、ゴールドコースト、ハワイその他のリゾートに行きまくっている私。
しかし、これはほとんどご招待だったり、社員旅行等の不可抗力ばかり。率先して
人食いザメ除けの網が張られた海に入る人の気が知れない。

海水浴場はみんな中でトイレをするから大腸菌たっぷりだし、かと言って陸上で海の
家の仮設トイレに入るくらいなら印旛沼に身を投げた方がまし。海は心から好きだけど、
これ見よがしにタットゥーやボディピアスをした人が、ズルズルと水着をずらして
スイカ割ってたりすると、後ろから延髄切りをくらわしてやりたくなる。自衛隊に
入って尖閣を守れ!

「夏の海はそういう場所だから仕方ないのよ」

という友人。それはいつもの宴会の「酒の席は無礼講だから」と同じ論理ではないの。
何も海に入るのがよくないとは言っていないの。何かにかこつけて周りに不快な思いを
させる輩が集まるから、夏の海が嫌なのだ。

海外のビーチ、ヤシの葉影でリゾラバに抱かれ、パンツ丸出しになったニッポン女子が
こちらに向ける精一杯のドヤ顔。どう、私は今この男に選ばれたのよ、と言わんばかりの
優越感。私はこれまで知人を介して、ハワイでone night stand (一夜の関係)を
楽しんだ後に妊娠したOLや、浜辺で六本木のストリップダンサーからSTDをうつされた
地方のモデルさんに頼まれて、不良外人と戦ったことがある。私はいつもこんなのばかり。
まるで陰間茶屋のやり手ババアじゃないの...

夏の海やリゾートには人を開放的にする何かがあるのだろうけど、後で泣くのは女子。
だから夏の海にはあまりいい思い出がない。

「じゃ、いつもリゾートで何してたの」

短期間でもちょっとだけ贅沢なホテルを予約して、日中は冷房の効いたホテルから
海を眺めて過ごす。涼しくなった夕方からシャワーを浴びて街に繰り出すという、
エマニエル夫人ごっこが好きなのだ。現地のリゾラバにたらしこまれて、鼻の下を長く
するニッポン女子に憐憫の眼差しを向けながら、おいしいレストランを目指す。

夕暮れ時の海と空、きらめく星や海風、そして美味しい食事があれば、十分に魂の
洗濯ができるパワースポットなのだもの。



長い妄想から現実に戻った私は、フランス人の子分に問いかける。

「それで週末メンバーは、また2人だけ?」
「アメリカ人3人、フランス人2人、それとスコットランド人」

増えている...

すべて会社以外の外人仲間で、誰一人私の知る人間はいない。これでは単に
砂浜で待つ外人サーファーの数が増えただけではないの。しかもこんな多国籍軍。

灼熱の太陽に加えてアメリカ人3人というのがまた暑苦しい。
変わり者のフランス人は、なんだかんだとカッコをつけたがるのではみ出さない。
スコットランド人を含めイギリス人は、お酒を飲まない限り人畜無害。

唯一の癌はうるさいアメリカ人だ。しかも×3 。・゚・(ノД`)・゚・。

「土日は友達と約束があるからまたね」

今週末は巣ごもりをして、積読になっている本を消化しよう。


女装子
先日の「汚超腐人」同様、ネット世界のサブカルで使用されている言葉に「じょそこ」
というのがある。その漢字表記は「女装子」または「女装娘」。すでに、胸躍る得体の
知れない怪しさや、そこはかとない香ばしさを醸し出している。

2ch等で使用されている喪女、孤男、既女などと並んで、知る人ぞ知るカテゴリー。
その中でも一種マニアックな部類に入るかもしれない。

以前テレビで、マツコ・デラックスやミッツ・マングローブの肩書きを「女装家」と
書いていて、ふぅん、そういう職業もあるのね、と思ったのだけど、この「じょそこ」
とは、いわゆる女装を趣味とする人らしい。言葉の定義のしばり自体がかなりゆるく、
職業としての女装家ばかりでなく、一般的な男性で女装を趣味とする人までを含む
とのこと。

私のブログを見ていただいている方にとっては、すでにオカマが日常ネタになって
しまっているのだけど、一般のヘテロセクシャルの男性が女装をするというのは私に
とっても新鮮な発見だった。

年末の宴会芸でたまたまやった女装の味が忘れられず、コスプレの延長で足を踏み
入れる人。バイセクシャルのバランスの偏り(ヘテロ寄りかゲイ寄り)から女装に
手を染める人。そして、職業としての異性装者(トランスベスタイト)と、程度も
範疇も多様なバリエーションがあるらしい。

この女装系の方たちには一般のヘテロの方も含まれるけど、大きな範疇のゲイという
言葉も範囲が広く、決して一絡げにはできない。

富士山に登ったネイサン(お姉さん)はただのゲイだし、1年かけて徐々に女になった
会社の同僚は性同一性障害、常日頃から「あたしはオカマじゃないのっ」と言っていた。
大学のクラスメートで日本最大手の新聞社の記者をやっているユミさんもただのゲイ
(レズビアン)。そして、カナダ人のランディはプロテインが命のハードゲイだ。

こうしたゲイの人たちは性の対象が生まれながらにして違うわけで、よく言われる
「そちらの趣味」のように、趣味でやっているわけではない。一方、今回の「じょそこ」
は多分に「一般ヘテロの趣味的」な要素を含む点で、ゲイとは一線を画している。

ネットを渡り歩いていると、いたるところでこの「女装子」が顔を出すようになった。

例えば、東日本大震災時、ホテルでアルバイトをしていた人の目撃談。激しい地震の
揺れの中、ホテルの一室からブラジャーにショーツ姿のおじさんの一団がワラワラと
飛び出して来るや、ロビーで会社に安否確認の電話を入れていたという。何だか
とっても阿鼻叫喚。つまり、仕事の出先を利用して女装の会を開くほどに、女装の
裾野が広がっているのだ。

興味をもって調べてみると「女装子」のキーワードで色々なサイトが出てきた。特に
若い男の子たちが化粧をすると、そこらへんのギャルよりも遥かにこぎれいな女の子に
仕上がっていて、カオスな感じが何ともたまらない。こういう男の子たちが、ひいては
腐女子や汚超腐人のおかずになるのだ、とここでつながる。

一体どこで服や靴を調達するのかしらという疑問はすぐに解消された。世の中の女子
全般がデブになったせいで、今や通販のニッセンあたりでは38号の服を売っていたり
する。

38号......鉄人28号よりも大きい。
普通サイズ9号からどんだけ膨らんだらこんなことに。画像でスカートを検索したら、
私にはのれんに見えた。縦も横も一緒の四角い生地。でも、このおかげで女装子
たちは店員との気まずいやり取りをすることなく、通販で15号の服や28センチの
ピンヒールを買えるの。もちろんトリンプのブラもピーチジョンのキャミもOK。

アマゾンでは「カワイイ女装娘の作り方DVD」も絶賛発売中。しなの作り方から、
お化粧の仕方まで丁寧に教えてくれる、まさにかゆい所に手が届く充実した
サービスを提供している。マーケットはどんなすき間産業も見逃さないってこと
なのね。以前同じくアマゾンで、南京玉すだれのDVDを見つけて以来の新鮮な驚きが
走る。更に、彼女たちの人生はすでに映画化されていて(「僕の中のオトコの娘」
2012年12月)、今、じょそこが熱い。

まあ、どう転んでも女装が綺麗なうちは文句がでないのだけど、世の中そうは問屋が
卸さない。

事の始まりは山口県周南市。今、大量殺人で世間を騒がせているかの地を画像検索
した人が、とある写真を発見。その画像をたどると、素敵な女装子サイトに行きついた
という報告を入れていた。

早速そのサイトに飛んだ私を待っていたものは、一般女装子の域を遥かに超えた
究極の恐怖だった。

西奈留子さんは68才。配管工をなりわいとされている。個人のサイトなので直リンは
しません。奈留子さんを紹介しているサイトのURLを貼りますので、ご自身の目で
その肉感的な水着姿や、挑発的なキメ顔をご確認ください。おっぱい水筒と呼ばれる
豊満な胸はご自身の手作り。そこはかとなく花沢さんに似ていらっしゃると思う。
なお、万が一会社でこれを見ている方は閲覧注意。社会的地位を一瞬にして失う
最終兵器です。

それでは覚悟してどうぞ↓

http://news020.blog13.fc2.com/blog-entry-3047.html


ミーちゃんの手術
ここ数日ブログを更新していなかった。

先週、家の猫のミーちゃんが乳腺腫瘍の手術をした。
実際開腹をしてみると、ザラザラとした粒子状のものを含めて
かなり広範囲に再発していた。

術後、開腹時の写真をみせられて息が苦しくなる。
瘦せっぽちのこんな小さな体でよくこの手術を耐えたと、改めて褒めてあげたい
気持ちでいっぱいになる。

病院では麻酔が醒めるやいなや、周囲に当たりちらしては先生たちの
腕を引っ掻いたとのこと。ストレスが激しいので、今夜すぐに引き取って下さいと、
体よく宿泊をお断りされる。

せめて手術当日ぐらい何があるかわからないので、そのまま面倒をみて欲しかった。

家に連れて帰ると、他の2匹が心配そうに近寄ってくる。
全身を包帯でぐるぐる巻きにされたミーを見て、妹分のピッチは恐れをなして
逃げていく。ミーちゃんは体が痛いらしく、そこから一晩中、唸り声をあげて鳴き
はじめた。

どうにも助けてあげることができずに無力感を感じながら初日を終え、そして、
日一日と徐々に回復して今日にいたる。

やっとブログの更新ができる心のゆとりができた感じ。

先生は「また再発しますよ」「いずれ肺に転移したら覚悟してください」
と言う。

でも、私はそうならないようにしたい。手術後、甘えが激しくなったミーちゃんを
見ながら、もう二度と病気にならないでと毎日話かけている。

そんな私の願いをよそに、本人は包帯を少しずつ噛み切りながら、自分の
体仕様にカスタマイズしている。前回の手術時同様、また自分で抜糸しないように
包帯を巻きなおしてもらおう。

とりあえず手術は成功しました。

応援していただいた皆さん、本当にありがとうございました。
ミーちゃんもとても感謝しています。


しょんべん芸者
何やら穏やかならぬタイトル。

事の発端は、先日テレビで見た京都舞妓(まいこ)の特集である。

自毛を結い上げた舞妓さんは、芸の修行をしてやがて芸妓になるという。
舞妓さんは関東でいう半玉、芸妓さんは芸者。先日の腐女子が汚超腐人へと
羽化するように、半玉も芸者さんへと成長していく。

以前、ドイツ人の友人に「フジヤマ、ゲイシャのゲイシャはジャパニーズ
ギターを弾く着物ダンサーでしょ?」と質問された。ジャパニーズギターは
たぶん三味線のことだと思うのだけど、果たして芸者ってダンサーなの?

この「芸者さんの正体」が、長らく心に突き刺さっていた。

今となっては手の届く範囲に芸者さんがいないものだから、ふと文芸作品に
思いを馳せる。「雪国」の駒子は芸者だったけど、清純派。「金色夜叉」の
中では、「別れろ切れろ」の恋愛対象、「死んだはず」のお富さんは、
たしか木更津の芸者。そして、永井荷風の「墨東綺譚」では、置屋にいて
出番を待つ慎ましい芸者さんの姿があった。漠然としたイメージの中、私は
芸者が何たるかを知らない。

そんな折も折、深夜のテレビで温泉芸者特集なるものを見る。そこで画面に
映し出された温泉芸者たちは、奥ゆかしい駒子でも、はかなげなお宮でも
なかった。

依頼を受けた温泉芸者たちは、高ぼっくりなど履いていない。派遣先の旅館
まで無理矢理チャーターバスで乗り付けるや、どやどやと大股で館内を
練り歩く。その後、宴会場でくり広げられた彼女たちの芸が阿鼻叫喚。粋な
三味線も小唄もない、すべてがハイパーの一言だった。

宴会場の真ん中に一列に並べられたビール瓶は10本。そのビール瓶の上には、
それぞれ100円玉が乗せられていた。すると、瓶の列を目の前に、一人の温泉
芸者が立ちはだかる。この上沼恵美子風熟女が、おもむろに着物の裾を
たくし上げた。

「ハイッ」

微笑む彼女が、なんと1本目の瓶上で思いっきりのスクワット。するとあら
不思議、先ほどまで瓶の上にあった100円玉が跡形もなく消えてしまった。

「一体、どこにいってしまったんでしょうねぇ」

と、いぶかしがるレポーターのコメントに、テレビの前で倒れる私。

その後、列の最後まで見事すべての100円玉を消し去った彼女は、ゴール
で熟女を待ち構えるエロ親父客の持つザルの上にまたがり、

「ハイヤーッ」

テンションが...
奇声とともに、ザラザラと音をたててぶちまけられた100円玉は、すべて彼女の
チップになるという。

次は寝技。不自然に宴会場に敷かれた布団の上に転がる中年の温泉芸者。
その大王イカのような体を横たえ、おもむろに真っ赤な布団に寝転がるや、
ゆっくりと着物の前を開いた。そこに取り出した一本の吹き矢。これを使って
壁にとりつけられた風船を割るという。

(仕事人みたいだ)

問題は吹き矢を吹く場所である。なめるように大王イカをパンしたカメラが、
突然横からのアングルに切り替えられる。使用部位は、先ほど上沼恵美子が
100円玉を吸い込んだ場所と同じ。

いくらなんでも、と半信半疑の私の目の前で、「エイッ!」という掛け声と共に、
空を切って吹き矢が放たれ、見事標的の風船を割ってしまった。

最近あちこちで地場産業を荒らす温泉コンパニオン。この新興勢力に対抗する
ため、腹筋トレーニングのような日々の芸の研鑽が欠かせないのだそう。
ちなみにこの風船割りシーンは、しつこいほどにスロー再生されていた。

これが芸者芸の真髄なのかはなはだ疑問に思った私は、古典芸能に詳しい叔母に
電話をかけて温泉芸者について聞いてみた。すると開口一番叔母が一言、

「そんなのはしょんべん芸者でしょう?」

また新たなカテゴリーの芸者だ。

叔母の口から飛び出したこの単語に、頭の中をあらぬ妄想が駆け巡る。
先鋭化した顧客ニーズに応えるため、とうとう究極のスカトロ芸に到達して
しまったしょんべん芸者たち...

あの温泉芸者の芸を見れば、さもありなん、と思う。

すると叔母は、

「ばかねぇ、小唄や踊りが満足にできない芸者さんのことよ。“ちょっと一節
やってくれない?”とお客さんに言われると、下手なものだから“お手洗
行きますっ”、て席をはずしてそのまま戻ってこない芸者をこう呼ぶの」

よかった。さすがにいくらなんでも宴会場ではと思っていたの。
叔母が思った以上に芸者に詳しそうなので、さらにその実態を聞いてみる。

「普通の芸者さんの陸揚げにはどれぐらいのお金が必要なの?」
「……」「もしかして、水揚げのこと?」

日本語は難しい。水と陸を間違えただけでこんなにも意味が違うなんて。
正解は「水揚げ」。めでたく身元引き受けをしてくれるパートナーをみつけ、
芸者の世界から足を洗うこと。

私が言い放った「陸揚げ」は、トドとかよね。

その後、興味をもって調べてみると、やはり一流の芸者さんは「芸は売っても
体は売らぬ」と生涯を独身で貫き、芸の精進を怠らないとのこと。

昔ながらの芸妓さんは同性からも尊敬の念があつく、昔は絵葉書や人気投票
まであったとのこと。男の勝手にはならないとは粋な心意気だねぇ、本当に
カッコイイ。

結局、芸者さんは奥が深くて、十把一絡げとはいかない。

それにしても温泉芸者さんの妙技は特筆。新たなエンターテイメント産業と
してエイベックスとかが参入すれば、きっと一大ビジネスになりそうな
予感。



ビーチでの妄想
炎天下の御宿ビーチで妄想した。

ふと考えると、私が苦手で嫌だと言っていることは、いつも外人の友人たちに引き
ずられて体験してきた。もし、私が私のままであったなら、多分一生経験しないで
終わったことがほとんどだった。

怖い馬の背にまたがって山岳乗馬
トイレの汚い富士山への登山
トロピカルビーチで素潜り挑戦
タイで臭い象の背中にのり
オーストラリアでワニ体験したり、
首に巻きつくニシキヘビ
イルカへのタッチ

本当に断ったのはバンジージャンプとスカイダイビングぐらい。
この他にも、いやだいやだといいつつ友人に連れまわされることで、自分一人では
体験できない貴重な思い出をたくさんを作ってもらった気がする。

そういえばあの人はどうしているのかな、と考えるうちに想いは飛躍していく。

クルド人の友人を嫌っていたトルコの友達。トルコは今、デモが激化して観光産業に
ダメージを与えている。そういえば同じ観光産業で生業をたてるギリシャはいまだ経済
危機、エジプトも政情不安。それぞれの国の知り合いが心をよぎる。

中国の友人は大丈夫だろうか?

先月末の株価暴落から、中国政府による理財商品とシャドーバンキング引き締め政策
で、すわ中国発の世界恐慌かと騒がれる。その後の報道規制や政府発表データの
改ざん、捏造で、中国は今国家としての威信が揺らいでいる。

もはや隠しようのなくなったバブルの不良債権は480兆円と言われている。これは
日本のGDPとほぼ同額。ただこの金額も中国の人口統計と同じで、ほとんど信頼のでき
ない数字とされる。

避けられないハードランディング。シビリアンコントロールのできなくなった軍の
矛先は、国民の不満のはけ口としてまた日本に向かうのだろうか。

2010年9月、尖閣で中国漁船が体当たりをしたあの日、上海の友人がくれたメール
には、日本と中国がどんな関係になっても私たちは友達だから、そして中国を嫌いに
ならないで下さい、と書いてあった。

土壌汚染、大気汚染、黄河は干上がり、揚子江は水質汚染、人々は公害による
癌に苦しみ、幼児の人身売買が繰り返されるあの国の中でも、人々は懸命に働き
それぞれの人生を送っている。そして、そんな中国にも日本が心から好きで、いつか
訪れてみたいと考えている人々がいる。憤靑と呼ばれる急進的な中国人グループが
ネットで日本を貶める一方で、それを抑えようとする親日的なグループが常にいる。

中国同様、これまで反日を政治カードに利用し続けてきた韓国も、もはやその経済
は風前の灯。おそらく1997年の通貨危機時同様、金融破たんを起こして、IMFのもと
再建を図ることになるだろう。それにしても、一国の大統領をして、公の席上
これからも日本を「1000年恨む」と言わしめるその背景はどこにあるのだろう。

日本人の「水に流す」という感覚。

日本人がさらりと水に流そうとしていることが、彼らには奇異に映るのかもしれない。
日本も原爆を2つ落とされ、多くの一般市民が尊い生命を落とした歴史がある。

でも、恨むにしろ水に流すにしろどちらがいいか悪いかは別にして、この日本の未来
志向こそが、日本の原動力であったことは事実である。

韓国は今、インフレと社会不安、大手銀行での取り付け騒ぎ、そして目の前にある
国家のデフォルトに瀕している。日本びいきの韓国の友人たちの顔を思い浮かべては、
いつの日かこの似て非なる二ヵ国が、真の意味で手を携える日が来るのかどうか、
ぼんやりと考える。

私の妄想を切り裂いてフランス人の子分が走ってきた。

「ウォーリックさん、ウォーリックさん、ところで放射能は大丈夫ですか」

もうかれこれ3時間もどっぷりと浸かっていたくせに、今更、放射能は大丈夫ですか、
などと。

南から黒潮が流れて房総半島を洗い流してくれるからきっと大丈夫だよ、と聞くや、
またドカドカと海に走って行った。

そいうえば原発。彼の国も日本同様の原発大国で、日本とほぼ同数の原発をもつ。
サルコジと打って変わって親日路線を掲げるオランド大統領は、原発で日本との協力を
模索している。ただあの国にあっても反対派がいて、世論は一枚岩ではない。

2030年までに新興国のマーケットとして世界で800基の原発が待っているらしい。
特に日本の原発は非常に人気とのこと。福島の問題がいまだ解決されていないこの日本が、
世界に原発を売る現実。

御宿ビーチの強烈な太陽のせいで、少しだけ妄想してしまった。

一日も早く世界に平和が訪れますように。


灼熱のビーチにて
私は夏の太陽が嫌いだ。

燦燦と降り注ぐ直射日光、肌をさす紫外線、そして滞る熱波の嵐。
だから夏は嫌。

そして今、私は灼熱の御宿の浜辺でこれを書いている。
10メール先には波打ち際があり、多くのサーファーが波と戯れている。

暑い…

一体なぜこんな事になってしまったのだろう。

ことの始まりは今朝のこと。鳴り続ける電話をとると子分のフランス人の
同僚が話しかける。

「どうしてもサーフィンがしたくて」
「行けば?」

今、そちらに向かっているんです、というや電話がきれた。
向かっているって、どういう意味?にわかには現状を把握できない私。その後、
メールが届く。今朝目覚めた彼は、以前、私が「御宿はサーフィンで有名な
ビーチがあって海は綺麗だよ」と言ったのを思い出したとのこと。すると突然
波が呼ぶ声がして、いてもたってもいられなくなったんですという。

ちょっと!確かに御宿はサーフィンの名所だけど、家からでもゆうに1時間
以上はあるし、何よりもまず今日の私の予定はどうなんじゃ。

どうせ暇なのだろうと足元を見られて、何のかんのと最寄り駅で待ち合わせて
しまった。そして、会うや否や、

「ウォーリックさん、ボードレンタル屋知ってますか?」

まさかあんた私が「さーふぁー」とでも思ってここに来たの?おおよそ爽やかな
夏の海とは程遠い人間、いや、むしろ最後の選択としか思えない私が、照りつける太陽の
元、こうしてサーフィンにきてしまった。

勿論、海になど入らない。

ありったけの日焼けどめを塗りたくって手袋をし、日傘をさしてじっとりとビーチ
に座っている。彼に借りたサングラスをかけて.....

「じゃあ、荷物をお願いします」

とか、何か解せない。そして、すでに2時間砂漠のようなビーチに放置プレイ。

この海辺でも電波が届く日本の科学技術に感謝しながら、灼熱の太陽の元、
今これを書いている。彼に借りたサングラスのおかげで、きっと秘密クラブのママに
見えるのだろう。うるさい子供達が近寄って来ないばかりか、ヤンキーさえも遠巻きに
歩いていく。

そして、ただ暑い....ああ、暑い!

なぜ私は今ここにいるのだろう。


お蝶夫人と汚超腐人
「追ってきなさいひろみ。あたくしは永遠にあなたの前を走る」

ご存じ往年のスポコンアニメ「エースをねらえ!」の中で、お蝶夫人こと
竜崎麗香が放つ名言である。

ライバルは緑川蘭子、高校生なのにありえない金髪、そして、基本常に上から
目線の女王様。庭球協会理事の娘として蝶よ花よのセレブ扱い、周囲にはいつも
バラの花びらが飛び散り、周囲を惹き付けて止まない美女の代名詞だ。

そんなお蝶夫人の同音異義語に「汚超腐人」がある。

字面だけで何やらお腹いっぱいな感じになるのは私だけだろうか。一般に
なじみのないこの言葉を教えてくれたのは、アメリカ人の友人だった。

今は別の会社に転職した彼は、かつて職場の同僚。アニメが好きで日本に
やってきた彼の採用を担当したのが私だった。震災の時は、出先から東京駅
まで人ごみをかき分けて共に歩いた戦友で、今も親交は続いている。

この彼は筋金入りのアニメヲタク、通称アニヲタ。外見は一応外人なので
キモヲタこそ免れているが、彼の話は常にしょっぱい。昼休みの1時間を利用
して日々秋葉原に通っていた。

その日もアキバに出かけ、昼休み終了ギリギリに駆け込んできた彼は、興奮
冷めやらぬ感じで私に報告する。

「アキバでセル画の掘り出しものを見つけたよ!帰りに腐女子(ふじょし)と
仲良しになったからラーメン二郎系で一緒にお昼食べてきた。BL好きで、
ちょっと "やおい" 入ってるかもしれない」

婦女子と仲良し?何やら淫靡な香り。
日本人は私の方だが、彼の言っている日本語が1つも理解できない。

まずはラーメン二郎を問いただすと、ヲタクのみならず一般の人びとにもカルト
信者がいるほどの人気ラーメンチェーンで、頼み方や味の具合まで土地土地の店に
よって微妙なさじ加減の違いがあり、麺もスープも絶品らしい。

その他、事細かに説明してくれるのだけど、私は開始2分目ぐらいから聞いて
いない。

セル画とは、テレビアニメを構成する何千枚もの透明シートに描かれた絵。
その中の1枚を、しかるべきショップで切り売りしているらしく、ヲタクの人々が
それを安く手に入れる。その後、アメリカのヤフオクみたいなところで現地の
ヲタクびとに高額で売りさばいては小金を稼いでいるらしい。

時に二束三文で買取ったガラクタが、ウン十万円で落札されることもあるとの
こと。これは別に彼らがあこぎな商売をしているという訳ではない。

入札である限り値段をつけるのは購入者である。こうしてみると、ヲタクの購買力
はあなどれない。だって、欲しいものには、金に糸目をつけないのだもの。
そのためか、こうしたショップには、常時数名の外人ヲタが仕入れに訪れては、
彼の縄張り荒らしをするらしい。

「だから毎日でも足を運ばないといいものが手に入らないんだよ」

ほんと、どうでもいい。
ラーメン二郎とセル画までは私にも理解できた。だが話はここからだった。

「ねぇ、BLとやおいってどんな具?」

私にはこれが精一杯だった。ラーメン二郎の後に出てきたから、きっとラーメンの
具のことだと思い、適当に話を合わせたつもりだった。

「えっ?」

その時のあざ笑うかのような彼のドヤ顔は今も忘れられない。

仕方ないな、とばかりに肩を潜めて、1つずつ説明が始まる。「BLはボーイズラブの略」
と、きちんとしたカタカナ発音。「でもね、実際は和製英語だから外人には通じ
ないんだけど」。

あんたも外人だろが、という突っ込みはしない。

「でね、ボーイズラブは、美しい男の子同志がセックスをする小説や漫画のこと。
"やおい"は また別ジャンルで、主に有名なアニメのヒーロー同志をゲイのストーリーに
からめて絵に描き上げる。たとえば、サザエさんのあなごさんとのび太君の愛とか。
こういうのを好むのが腐女子(ふじょし)かな。ま、女版のヲタクのことだよ」

「・・・・・」

あ、あなごさんが...恐ろしい、ディープすぎる。絶句する私に彼は続ける、

「最近は腐女子も高齢化が進んで、10代で腐女子、その後は年をとるにつれて
腐淑女(ふれでぃ)、鬼腐人(きふじん)、腐婆婆(ふばーば)に
進化して、40代で汚超腐人(おちょうふじん)のピークをむかえる。そして最後は、
腐死鳥(ふしちょう)=フェニックスになるらしいよ」

音声で聞いていた私は、頭の中で必死に婦女子、お蝶夫人、フレディ(13日の金曜日
またはクィーンのフレディ?)といった、自分の知識の範疇で漢字に置き換える。

だが実際は、上のような暴走族顔負けの漢字表記で、腐女子の劣化高齢化をたどる
らしい。

「若い頃はコミケで "やおい" やっていても、30歳を過ぎるとコスプレもできないし。
汚超腐人になった頃から恥じて地下に潜伏するらしいよ。」

女40代、肌の劣化や加齢による肥満で、もはやセーラームーンやキューティハニーの
コスチュームを着れなくなったゲイ好き女ヲタクの究極の末路。老後は普通の生活
をしながらひっそりと息をころし、最期は不死鳥になっていく。

切なくもおそるべし汚超腐人。


ベルク・カッツェの靴
電車でのまどろみ。

ゆらゆらと心地よい揺れに身を任せて、これから家路につく楽しいひととき。

そんなゆったりとした時間の中、ふと目を覚ますと、電車の床を這うように
すべる長い抜け毛の塊。その塊が、とある靴にぶつかりその動きを止めた。

「ベルク・カッツェの靴?」

寝ぼけながら、舐めるように視線を上にあげていくと、麻原彰晃が座っている。
選挙活動時に彰晃ダンサーズがかぶっていたあのお面。半開きに口を開けて
宙を見つめている。

休日のカフェテラスで、この女性の目撃談を友人に話す私。それを黙って
聞いていた友人が口を開いた。

「なんだかちっともわからないわ」

半ば呆れ顔で話に乗ってくれない。そう、私の例えは分からないといわれている。
物事を解りやすく説明するために、皆が知っている最大公約数の何かに例える
ことで色々な含みを持たせたり、会話をスムーズに運んだり。

皆、そんな私の例えが分からないと言う。黙っていた友人が続けて、

「ベルク・カッツェって何?」

言われてみれば、百歩譲ってベルク・カッツェを知っていても、彼の靴を知って
いる人は、いないのかも知れない。

このブログを書くときも、極力マニアックな比喩は使わないように心掛けて
いるつもり。でも、どこかにきっと登場しているに違いない。残念ながら
私には分からない。

先日も同じようなことがあった。

出入りの翻訳会社との打ち合わせに出た私が自席に戻るや、都合で会合に
出られなかった男性陣の質問攻めにあう。

「何か仕事しづらそうな感じだけど、林さんてどんな感じの人」

そして素直に自分の印象を話す私。

「年の頃なら三十路入り、和歌山毒入りカレー殺人事件の林真須美をちょっと
薄くした感じ。バッグはラメ入りで大阪のおばちゃんテイスト。ただ、ベラのサンダル
みたいなのはビジネススーツに掟破りよね。そう言えば林久美子ってどど面どど彦と
同じ名前だ」

書類に目を落としたままツラツラと感想を述べた私は、あまりの反応のなさに目を
あげると、皆の頭の上にクエスチョンマークが見える。

「そういうこと聞きたいんじゃないんだけど」

確かに長々と話した割には、仕事に使える人物評がみじんも感じられない、と、今
これを書きながら実感。

一方周囲では、林真須美ってどんな顔だっけ?とか、ベラってサンダル履きですか?
などとざわつき始め、すでに話がとっちらかっている。さらにそれまで黙って聞いて
いた外人たちが業を煮やして聞いてきた。

「ウォーリックさん、ウォーリックさん、どどめんどどひこは何ですか」

え、そこ?

ここまで来て私のたとえが崩壊していることに気づく。何一つ、誰一人として私の話
を100%理解してくれる人がいない。

どど面どど彦は70年代の楳図かずおの「まことちゃん」に出てくるサブキャラ。

故田中角栄氏の隣に住むお嬢様だけど、顔がどど面。まことちゃんにストーカーを
かけてる人と、どうやって外人に説明しよう。しかもそのキャラの本名が、たまたま
取引先の担当者と同じという意味なし情報のためだけに。

紅白を見損なったというミーシャファンの友人の「どうだった?」という問いかけに、
頭がウツボカズラひっくり返したみたいと言ってキレられたり、「ソバージュをかけた
けどどう?」という友人に、ウミウシな感じといって怪訝な顔をされたり。

ちなみに私は繊細なA型で(笑)、ウケ狙いでいっているわけではない。私なりに精一杯
一番近いと思う印象を伝えようとしているだけなのだ。

続々と思い起こされる私のずれたコメントと、得体の知れないたとえの数々。

でも外人に英語で「今日は唇が腫れてカモノハシ!(platypus)」とやらかしても、
「あ、ほんとだ」って聞いてくれる。そもそも向こうは私が話す日本語なんて
聞いちゃいない。

私の友人に日本人が少ない理由は、どうやらこのへんにあるのかと思う今日この頃。



ミーちゃんの病状
早朝の車窓。

通勤電車の中でブログを更新している。

「ミーちゃん」について本当に多くの人たちから励ましの
コメントをいただき、ありがとうございました。

先週、あの記事を書いてから病院に行くと、大きな腫瘍一つ、
その他にも小さなものが3つの合計4個の腫瘍が見つかり、来週
レントゲン検査と手術を行う事となる。

小柄ながら、13才の今でも軽々と1メートルはジャンプする彼女が
そんな病魔におかされている現実が信じられない。

いずれにしても、私が現実逃避したところで何も始まらない。

ひたすら手術の成功を祈り、そして一日でも一緒に大切な時間を
過ごしていきたい。

ミーちゃんは大丈夫。

絶対に大丈夫。



ミーちゃん
家のミーちゃんは13歳のキジトラ雌猫。

以前「家の猫たち」でも書いた通り、13年前にフランス人の友人から譲り受けた
雑種の捨て猫。譲り受けたといっても、手に負えなくなったから何とかしてくれと
いうことで、半ば強引に引き受けさせられた猫。私が引き取りを了承しないと、また
拾ったところに置いてくるという。生後間もない子猫を公園に放置するなど、虐待
以外の何物でもない。

結局、petite lune(小さい月)と名付けられた小さな小さな子猫を引き取る
ことになった。

猫は大好き。ただ、以前飼っていた猫の死後に経験したペットロスから、気軽に
生き物を飼うことができなくなっていた。そんな私が、不可抗力で再び猫を飼う
きっかけになったのがこの猫だった。

ミーちゃんは性格のきつい猫。

彼女を引き受けた後、立て続けに同じような経緯で引き取った他の2匹の猫たち
のボス的存在になった。体は痩せていて3キロにも満たない小柄ながら、8キロの
オス猫ハルキに日々猫パンチをくらわしている。

そんな男前の雌猫ミーちゃんが乙女になる瞬間。私が会社から帰ると必ず出迎え
をし、右の肩にお帰りジャンプをしてしがみつく。部屋の中では私の膝の上から
離れない猫だ。

昨夜、そんなミーちゃんのお腹をさすっていると、コリコリと大き目のしこりが
あることに気づく。

「ああ、まただ...」

目の前が真っ暗になる。一瞬息をのみ、過呼吸になりそうな感じをおさえながら、
頭の中ではすでに動物病院の予約が駆け巡る。

おそらく悪性腫瘍が再発しているのだと思う。

昨年の暮れ、何気なくお腹を触っていると小さなしこりが手に触れた。一体何だろう
と病院に連れていくと、腫瘍ができているので手術しますという。

数日後、指定日に手術をして切除した腫瘍の精密検査をすると悪性だった。しかも、
転移、再発の可能性が大きいですよ、とお医者さん。

それ以降とても注意していたつもりだったのに、今回のしこりは以前のものよりも
大きく感じる。手術以降、嫌がってなかなかお腹を触らせてくれなかったのも
あり、このしこりの大きさに衝撃を受けている。

明日またかかりつけのお医者さんに行って、検査をしてもらう。

きっと大丈夫。

ミーちゃんは大丈夫。


梅子とミリアム
会社にて。
遠くの席から同僚OL2人の会話がもれ聞こえてくる。

「"かす"..."けつしろ"..."ごきり"...地名ってホントに変ね」
「うん、ハハハ」

何か嫌な予感がして席を立ち、2人の方に歩み寄る私。この2人は高校からアメリカと
カナダに留学して、大学までを海外で過ごしてきた人たち。英語の会話ではそつなく
ビジネスレベルをこなすバイリンギャルである。

ただ、海外を渡り歩いてきた帰国子女や彼女たち共通の問題は、漢字が読めないこと。
勿論、中にはすらすらと読むことができる人もいるのだけど、時に外人ネイティブの
方が漢字に強かったりする。

今、彼女たちは関東近辺のガイドマップを作成しているはず。地名は難しいから、
ネイティブに翻訳を出す前に、あらかじめ読み方を検索してアルファベットに直して
あげて、と頼んでおいた。特に地名は普通の読み方をしないから必ず検索してよ、と
念を押してあった。

2人のデスクにつくと、地名のリストを見る私。やはり嫌な予感は的中していた。

「ちょっと梅子ったら、ゆうすけで検索してって頼んだじゃん」
「でも、間違ってないでしょ?」

だいたいいくら地名でも「かす」とか「けつしろ」なんて読みがある訳ない。

「けつしろは結城(ゆうき)、かすは加須(かぞ)、ごきりは五霞(ごか)でしょ」

あ、すまんすまんという。この梅子はブログ「かぶりもの」で私を秘密クラブの
マダム呼ばわりした毒舌女。一緒にいるとこの上なく楽しい人物だが、いかんせん
漢字が全然読めない。

郵便番号検索サイト「ゆうすけ」には、難しい地名の住所表記がひらがなで書いて
ある。地名は思い込みで読んでも間違えるケースがあるため、くれぐれもここで
確認するようくどくど言っていると、彼女あてに電話が入ったので席に戻った。

自席でPCに向かうや、遠くで梅子の怒鳴り声が聞こえる。また、何かやらかしたの
かしらと嫌な予感。
するとドカドカと憤懣やるかたない梅子が私の席に走ってきた。

「ちょっと聞いてよ!ミリアムの奴」

ミリアムというのはフランス人の女性翻訳者。自己主張が激しい性格で、口の悪い
梅子とは犬猿の仲である。

「今回のキャッチコピーは翻訳が難しかったからページ単価を上げろって」

一般的にフリーランスの翻訳者とは文字数やページ数で翻訳料金を決めている。
このミリアムは、担当した仕事の内容の難易度によってその都度値段交渉をして
くる。

「それで今回はなんていってるの」
「ほかの下手くそと違って、私の翻訳はバッグで言えばルイヴィトンよって」

ほほう、ふっかけてきたものだと思う。

「それで何ていったの?」
「きょうび、ヴィトンなんてドンキとかでも売ってますしっ、て言ってやった」
「wwwそしたら?」
「ドンキってなんですかって」

外人相手の交渉には時に戦いも必要。大人しい日本人をやっていてはビジネスの
国際紛争には勝てない。するとすかさずミリアムから私あてに電話が入る。
泣き落としの最後の砦はいつも私になっている。

「ウォーリックさん、どうして◯◯さん(梅子の名字)はあんなにイタケダカ
 なのかしら」

マダムモレシャンのようなフランス訛りでミリアムが叫ぶ。居丈高は梅子には
読めない漢字だ、と思いながら、今回は予算に限りがある旨、また、ミリアムの
翻訳には定評があるので、次回の案件で埋め合わせをさせて欲しいと頼んで
穏便に電話を切る。

「そんな言い方するからつけあがるのよ。何がルイヴィトンじゃ」

横で会話を聞いていた梅子がプリプリしている。
どっちもどっち。それにしても本当にルイヴィトンはドン・キホーテで売ってる
のかしら?


世界のどこかで
私は英会話学校に通っている。

この学校は、テキストを使うわけでも決まったトピックスがあるわけでもなく、
ネイティブの先生とマンツーマンで40分、自由に好きなことを話す。
マンツーマンにもかかわらず、ワンレッスン2,000円というのは破格の値段。語学はどれ
だけ多くの時間がかけられるかがポイントなので、私はこちらのスクールを使っている。

いつも私のブログを見ていただいている方からすると、「同僚の外人がいるのになぜ」と
思われる方もいらっしゃるかも知れない。これには理由があって、仲がよくなればなる
ほど、日常の会話の中で「この言い回し変?」などと聞き返せないのが一つ。

また、彼らが社内で意図的に英語を話す時は、会話の内容がろくでもないことばかり。
決して人様の前で使える英語ではないため、なかなか応用に苦慮してしまう。

さらに、仲がいい分だけ、会社の飲み会で改めて「核拡散防止条約について」などと
話せる訳もなく、結果英会話の学校に通っている。

語学には読み書きが得意な人と、会話が得意な人に分かれる。この二つは歴然と分かれて
いて、私は別の能力だと思っている。そのため、それぞれを意識的に鍛錬しないと、どん
どんと力は落ちていくもの。自分一人でお勉強が苦手な私は、学校に通うことでペース
メーカーになってもらっている。

その点、今通っているスクールは今更英文法のテキストを強要されるわけでもなく、自分
勝手にしゃべりまくることができるので、私のような性格の人間にはとても合っている。
また、先生の国籍もバラバラなので、オーストラリアやカナダ、アイルランドのアクセント
に触れることができるのも魅力。ネイティブだからと言って、誰もがBBCやCNNのアナウンサー
のように話してくれるわけではないことを考えると、いろいろなアクセントに慣れておく
のも楽しい。

この学校で知り合ったアメリカ人の先生。先祖に日系の血が入っているという彼は、
なんとなく指名の回数も多く、お気に入りの先生の一人だった。

そんな彼が今度日本の会社を受けようと思っている、と話す。私がなんで?と聞くと、
教師としてのキャリアをこのまま続けるのも自信がない、もっと別のフィールドで新しい
世界を見てみたいという。

残念だとは思いながらも、日本でいわゆる「英語の先生」をしている人の定着率が
低いのはよく言われている話。「また世界のどこかで会えたらいいね」と言って、最後の
授業を終えた。

それから一週間後、総務から内線が入る。至急指定された応接室に向かいドアを
明けると、その先生がソファに座っていた。

お互い目を合わせるやオーマーガー状態。
ぎこちない動きで、日本語でこれまで聞いたことのないフルネームを話すトミー。

勿論学校の授業では一切の日本語が禁じられていたため、彼が日本語を話すのを
聞くのはこれが初めて。

「私の日本語よりもウォーリックさんの英語の方が数倍上手ですね」

(こんなお世辞が話せるなら、あなたの日本語は随分とお上手)。

名乗る前から私の名前を知っているのを不審に思った人材紹介会社の人が、私に
知り合いかと尋ねる。

「はい、一週間前まで英語の先生でした」

私の人生には、こうした偶然が多くあった。ミラノでトランジットをしている時に
イギリスでお世話になった教授に再会したり、成田エキスプレスのホームでイタリア
人の友人に出くわしたり。

結局、この英語の先生は別な会社に入ったけど、また、いつかどこかで出会う気が
してならない。

Copyright © 阿鼻叫喚 (あびきょうかん). all rights reserved.
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。